社説 京都新聞トップへ

天皇退位儀式  現憲法下にふさわしく

 天皇陛下の退位と皇太子さまの新天皇即位を巡り、儀式のあり方を検討している政府の準備委員会が、退位の儀式を「退位の礼」とし、内閣の助言と承認が必要な国事行為に位置づけることなどを決めた。
 政府は、これらの内容を盛り込んだ基本方針を、来月中旬にも策定する予定にしている。
 約200年ぶり、現憲法のもとでは初めての退位である。細部にも目を配り、万全の構えをもって臨んでもらいたい。
 準備委員会は、菅義偉官房長官をトップとし、年明け早々に発足した。昭和から平成への移行に対応した石原信雄元内閣官房副長官らの意見も参考にして、検討を進めている。
 退位は、皇室会議を経て来年4月30日に行われることが決まったが、儀式の具体的な内容は、新天皇の「即位の礼」とは異なり、皇室典範に定めがない。
 国が定めた特例法に基づく退位なのだから、国事行為と位置づけるのは当然だろう。
 皇室の伝統を尊重しながらも、現憲法下の象徴天皇制にふさわしく、天皇の政治への関与禁止や政教分離の原則との整合性を、保っていかねばならない。
 準備委は、式典の具体的な名称を「退位礼正殿の儀(仮称)」とし、皇居で実施することにした。ここでは、国民の代表としての首相が陛下の退位に触れ、感謝の意を伝えたあと、陛下が国民にお言葉を述べる段取りを選んだ。
 退位が、天皇の意思で行われる政治関与とならないよう配慮したといえる。
 式典に向けて、政府内で調整されるだろうお言葉も、同様に細心の注意を払うべきだ。
 皇位の印である「三種の神器」の一部である剣や璽(じ)(勾玉(まがたま))については、侍従が陛下とともに持ち込み、式典終了後、陛下が退出するのに伴い、会場から持ち出す運びとなる。
 これは、陛下が直接、新天皇に神器を手渡すことを避ける、という意味を持つ。儀式をもって譲位が成立したと、受け取られないための工夫なのだろう。
 その後、新天皇の「即位の礼」があり、秋篠宮さまが皇位継承順1位となることを示す「立皇嗣(こうし)の礼」は翌年に実施される。
 いずれも、憲法の趣旨に沿うとともに、国民が受け入れやすい簡素な儀式とする必要がある。代替わりが、静かな環境の中でスムーズに行われるよう求めたい。

[京都新聞 2018年02月23日掲載]

バックナンバー
 
著作権は京都新聞社に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)