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東京電力福島第1原発事故に伴い避難した原発周辺の全世帯を対象にした福島大のアンケート調査の結果が公表された。ほぼ4世帯に1世帯が「避難前の居住地に戻る気はない」と回答している。 原発事故には何の責任もないのに、立ち退かされた住民が発した悲しすぎる、率直な心情と受け取らざるを得ない。 調査は、福島第1原発直近にある福島県双葉郡8町村に暮らしていた約2万8000世帯を対象に行い、1万3463世帯から回答があった。7町村は全域または一部が原発から20キロ以内の警戒区域、残る1村も計画的避難区域に含まれる。 調査の結果、26・9%が「元の居住地に戻る気はない」と回答、「国・自治体の十分な除染実施後に戻る」の22・7%を上回った。戻る気はない理由を複数回答で聞いたところ、「除染が困難」が83%、「国の安全宣言レベルが信用できない」が66%、「原発事故収束に期待できない」61%と、国のこれまでの対応に対する不信感を示している。 深刻なのは、「戻る気はない」と答えた住民が若い世代ほど多いことだ。34歳以下で半数を超える52%、35~49歳で37%だった。子どもへの放射能の影響を心配するほか、「生活を一から立て直すには若いうちに」という気持ちの表れととれる。ただ、今後の再建の主役になるべき若い世代の喪失は地域復興の成否にかかわる。 アンケート調査は、避難者が直面する現在の暮らしも浮き彫りにした。今の生計を支えるのは「義援金や仮払い補償金」81・7%、「貯金の取り崩し」34・4%で、「勤労収入」はわずか35%にすぎなかった。 会社勤めの3割、商店経営など自営業者の6割が事故後に職を失ったままだ。3割以上の世帯が避難先を5回以上変えている。 これほど大規模な避難住民の意識調査は、これまでなかった。政府は住民たちの声にあらためて耳を傾けてほしい。 戻る意思のある世帯でも、待てる期間は「あと1~3年以内」が7割を超える。人が住まなくなった家屋は傷みが激しいことを考えると、時間との闘いとなる。 政府は10月末、放射能で汚染された土などの保管方法について、今後の工程表をまとめた。避難者が暮らしていた汚染の激しいと考えられる地域は「除染特別地域」として除染は国が行うとされる。 住民がいてこそ、ふるさとの再建と再生は可能である。役場が町や村の外に避難して、意思疎通の難しさもあるだろう。時期を明示した除染作業の計画や住民の地域への帰還の具体的道筋など、避難者の失望感を少しでも和らげる情報発信を重ねるべきだ。
[京都新聞 2011年11月10日掲載] |