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東日本大震災の復興費用を賄う臨時増税に関し民主、自民、公明の3党が合意した。所得税を2013年から25年間、2・1%増やすなどの内容だ。たばこ増税は見送り、政府・与党の当初案より所得税と住民税の負担が増えた。 納得できないのは、当初案で10年間4%の上乗せだった所得税の増税期間が25年に延びたことだ。臨時というが、これでは事実上の恒久増税になってしまう。 野田佳彦首相が表明してきた「負担を将来に先送りしない。今を生きる世代全体で負担を分かち合う」との理念からは程遠い結論だ。 1年当たりの負担額はほぼ半減するが、増税総額は約1・3倍になる。 個人住民税は10年間、一律に千円増やす。期間も負担額も当初より倍増し、増税額は4倍になる。 住民税の均等割は定額で課税されるため年収が少ない世帯ほど負担感は重い。 民主党が野党との妥協を急ぎ、1年当たり負担の減額や葉タバコ農家の利害を重視する自民、公明両党の主張を入れ、中途半端な「臨時」増税でつじつまを合わせたためだ。 民主党政権は、10年代半ばまでには消費税を段階的に10%に増税する方向を示している。復興のための臨時増税の時期が長期になれば、消費税増税と重なり、日本の消費や経済全体への悪影響が出る懸念も生じよう。 何よりも、日本の財政が悪化している状況を忘れてはいけない。国債など国の借金が11年度末には初めて1千兆円を超える見込みだ。国内総生産(GDP)比2倍を超え、先進国中最悪だ。 「復興債」の借金返済は増税をしてでも短期間に終えるべきだ、という当初方針の背景にこの認識があったはずだ。「負担を将来に先送りしない」と3党間で合意していたではないか。 「社会保障と税の一体改革」に伴う消費税の引き上げが今後に控えるだけに、日本の財政規律への姿勢を、市場が注視していることを忘れてはいけない。 政府は15年度までに復興に必要な額を19兆円と見積もり、うち10兆5千億円程度を増税で賄うとしてきた。 しかし、16年度からの5年間にさらに4兆円が必要になりそうだ。というのも政府は所有する日本たばこ産業(JT)などの株式売却や税外収入の上積みなどで手当てするとしているが、すべて確保できるかは不透明だ。 大震災の復旧・復興は国を挙げて取り組む課題だ。財源確保のためのやむを得ぬ増税の方針さえ揺らぐようでは、国民の納得と協力は得られない。
[京都新聞 2011年11月13日掲載] |