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APECと日本  TPPが映す外交課題

 米ハワイで開かれていたアジア太平洋経済協力会議(APEC)が首脳宣言を採択して閉幕した。
 加盟各国・地域すべてを自由貿易圏とする構想の具体化へ協力を進め、「グリーン成長」を支える環境関連物品の関税を引き下げることなどが盛り込まれた。
 野田佳彦首相は環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加方針を表明、複数国の首脳が歓迎した。
 TPPをめぐっては米国と中国が互いの動きをけん制するなど、太平洋地域の経済統合に関する両大国の主導権争いが新たな段階に入ったことを印象づけた。
 米国主導で進むTPPへの交渉参加を打ち出した日本は今後、両国のはざまで難しい対応を迫られる可能性がある。農業などの国内対策にとどまらず、日本の利益をかけた交渉にどう臨むか。政治力や外交力が厳しく問われよう。
 APECはアジア太平洋自由貿易圏を目指しているが、その手法はTPPだけではない。東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国に日中韓を加えたASEAN+3、さらに豪州、ニュージーランド、インドを加えたASEAN+6の枠組みも存在する。
 米国にはTPPにより知的財産権保護などの国際ルールを確立して、中国の勢力伸長を押さえ込む狙いがある。メキシコとカナダもTPP交渉に参加する意向を表明し、TPP拡大の動きはAPECを機に加速をみせてきた。
 オバマ大統領は胡錦濤国家主席との米中首脳会談で対アジア重視の姿勢を確認したが、人民元切り上げも強く要求した。
 一方、胡主席はハワイでの講演で、TPPには理解を示しながらも、中国が主唱するASEAN+3など多様な方法で経済統合を進める必要性を訴えた。
 こうした両国のつばぜり合いは米中がともに自国に有利な陣営をアジア太平洋地域に築こうとしていることをうかがわせる。
 その意味で、TPPは経済・貿易問題という以上に、安全保障の側面も浮かび上がってくる。
 日本にとっては、農業などTPPに反対する国内への対応だけなく、アジア太平洋地域で有利な立ち位置を探ることも必要だ。
 TPP交渉に加わるにしても、中国や韓国など東アジアの国々を無視することはできない。
 米国からは牛肉、自動車の市場開放や、かんぽ生命の優遇措置見直しなどが求められている。日本の利益について「守るべきは守り抜く」と強調した野田首相は、こうした圧力にどう対処するのか。
 いずれの課題もかじ取りは簡単ではない。怠ってきた国内経済や外交の戦略を再構築し、交渉をしたたかに進めなくてはならない。その覚悟が問われている。

[京都新聞 2011年11月15日掲載]

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