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派遣法改正  放置の末に骨抜きとは

 民主党は労働者派遣法改正案を大幅に修正する方針だ。
 仕事のある時だけ雇用契約を結ぶ登録型派遣や、製造業派遣の原則禁止を見送る方向で検討する。
 自民党などの反発に配慮して、継続審議となっている改正案の修正に応じ、早期成立を図るためだという。
 当初案からは大きな後退だ。
 製造業派遣規制など核心部分の施策抜きでは法改正の狙いだった派遣労働者の雇用安定が実現するとは思えない。派遣制度の抜本的見直しにもつながらない。
 派遣法は1986年の施行後、規制緩和が繰り返されてきた。長引く不況で、企業側が人件費の安い労働力を求めたことが背景にあった。
 派遣労働者が増え続ける中、2008年のリーマン・ショック以降の景気悪化で「派遣切り」が続出し、社会問題化した。
 民主党は製造業派遣の原則禁止などを衆院選マニフェスト(政権公約)でうたい、政権交代によって、置き去りにされた働き手に支援の手を差し伸べようとしたのではなかったか。
 労働者保護の観点から、法施行以来初めて規制強化の方向にかじを切るはずが、なんのことはない逆戻りするだけだ。
 昨年3月の閣議決定を経て国会に提出した後も、自民党などが規制強化は企業経営を圧迫するとして改正案に反対しているため、実質審議にも入れない状態が続いている。
 民主党は「ねじれ国会」の下でこれ以上、審議を遅らせれば、期間工ら有期労働者や、パートタイム労働者の待遇改善なども含めた労働法制全体の見直しに影響しかねないと判断したのだろう。
 しかしそうだとしても、こうもあっさりと看板政策を引っ込められては、国会運営や野党対策を優先して事足りる程度の政策だったと見られても仕方あるまい。
 子ども手当などの見直しに続いて膨らんだ期待がしぼむ思いだ。
 欧州の金融危機や円高の長期化で、日本経済の先行きは不透明感を増している。雇用が一段と悪化する恐れもある。
 非正規労働は補助的な収入源にとどまらず、家計を支える人にも拡大している。今こそ不安定な雇用状況に歯止めをかける施策の実行が必要なときだ。
 そもそも改正案には、派遣労働の中でも、とりわけ雇用が不安定とされる「日雇い派遣」の規制が含まれる一方、多くの例外規定も残されるなど、論ずべき課題が山積している。
 与野党は意見が対立する製造業派遣問題などを避けて通らず、働く人々の立場に立った論議を重ねて制度改革につなげるべきだ。

[京都新聞 2011年11月16日掲載]

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