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インドネシアで開かれた東アジアサミットは、アジア太平洋地域の政治・安全保障問題について、新たな枠組みを示す重要な会議になった。 東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国と日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドの計16カ国に加え、米国とロシアが参加したからだ。特に、米国はオバマ大統領が明確にアジア外交重視を打ち出し、存在感の拡大を狙っている。 新たな米外交を見せつけたのがサミットの焦点となった南シナ海の問題だ。世界経済にとって重要なシーレーン(海上交通路)であり、南沙(英語名スプラトリー)諸島領有権をめぐり、中国とベトナムなどASEAN加盟国の一部が対立を深めている。 サミットで、オバマ大統領は航行の自由など海上安全保障の重要性を強調して平和的解決を呼びかけた。中国の温家宝首相は「中国とASEANの問題だ」と介入を拒否し、対立があらわになった。同地域の安全保障を主導しようとする米国の強い姿勢を印象づけた。 日本は、米国の関与を歓迎し、先のASEANとの共同宣言では海洋安全保障に関する多国間の行動規範の早期策定を盛り込み、平和的解決を訴えた。 南シナ海の安全保障の確立は、中国との間で尖閣諸島問題を抱える日本にとっても重要だ。アジア太平洋地域の紛争を抑止し、平和的な解決が多国間での協議で推進できるよう、日本の外交戦略を練ってほしい。 一方、サミットの枠組みは、経済統合に関する米中の主導権争いの構図も絡む。 日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加表明に刺激されたように、中国は、ASEANに日中韓を加えたASEANプラス3での経済連携を強調している。日本はインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えたASEANプラス6を提唱する。 米国主導のTPPに対し、中国が日本やASEAN諸国を取り込んで、経済的な影響を強めるねらいだ。両大国がそれぞれ、自国に有利な枠組みづくりを目指していることが明確になった。 日本は、この両方に参加する立場だ。日中韓自由貿易協定(FTA)についても、早期に締結交渉入りを目指す方針で一致した。 両大国のはざまで難しい立場に陥る可能性もあるが、見方を変えれば日本の国益を守るために有利な位置ともいえよう。 ASEAN諸国やインドとの関係を深めながら、地域の安全保障や経済統合に重要な役割を担うチャンスが日本にめぐってきたと考えたい。外交力、政治力を発揮してもらいたい。
[京都新聞 2011年11月20日掲載] |