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国保保険料軽減  財政強化策を忘れずに

 厚生労働省は、市町村が運営する国民健康保険に関し、低所得者向け保険料軽減の対象を現行より高い所得層まで広げる方針などをまとめ、24日の社会保障審議会医療保険部会に示す見通しだ。
 市町村国保の加入者は全国で約3900万人。近年の雇用環境の悪化や高齢化を反映して、無職や非正規労働の人の加入が増え、それぞれの比率が30%を超えた。自営業者の比率は15・8%になっている。総じて所得の低い層が増加しているだけに、保険料軽減の対象を拡大する方向は納得できる。
 国保は従来から保険料収入が多くない上に、高齢化で医療費が膨らみ財政を圧迫している。国保の赤字市町村は53%に上り、保険料の引き上げが納付率の低下につながる悪循環に陥っている。2009年度の納付率は全国平均で88%と構造的な問題を抱えている。
 保険料軽減の対象拡大を実施するには市町村への財政支援の強化は欠かせない。公費負担率50%の国保には11年度で年間3兆4400億円の公費が投入されている。さらに投入額が増えるとすれば、財源を明確に示して、国民全体への説得力を高める必要がある。
 政府与党はすでに、消費税増税を念頭に置いた「社会保障と税の一体改革」で国保の財政安定化を課題とし、2200億円程度の新規投入を示している。
 しかし、市町村はすでに年間総計で5000億円を超える法定外の繰り入れなどで国保財政を支えている。2200億円程度の投入で、はたして財政の改善が図れるのか、具体的で丁寧な説明がほしい。
 国保をめぐっては、これまでも市町村間で保険料や医療費の格差の広がりが指摘されてきた。10以上の都道府県で市町村の保険料格差が2倍を超えている。財政力の弱い市町村の国保財政を強化することは喫緊の課題だろう。
 今回の改革案では、都道府県単位で市町村が拠出金を出して運営する「保険財政共同安定化事業」の拡充の方向を示すとされる。財政運営を都道府県単位で調整する機能を高めるのが狙いだ。
 しかし、都道府県単位で調整することで、これまで自らの運用努力で、医療費や保険料の抑制に努めてきた市町村の保険料が上るような結果になっては本末転倒だ。都道府県単位の調整でも、効率化に加え、地域の事情に応じたきめ細かな運用を心がけるべきだ。
 医療保険制度の改革を考える際には、保険料や公費負担と医療費のあり方とのバランスを忘れてはいけない。政府・民主党は、診療報酬の12年度改訂に向け、引き下げを視野に検討しているという。国民が納得でき、整合性ある政策に結実させてほしい。

[京都新聞 2011年11月23日掲載]

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