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政府の行政刷新会議の4日間にわたる「提言型政策仕分け」が終わった。過去3回の事業仕分けとは異なり、従来の行政の無駄を指摘する場から一転し、社会保障分野を中心に国民の負担増にも踏み込んだ判定が多く出された。 もともと今回の政策仕分けは、これから始まる社会保障と税の一体改革取りまとめの中心的な論点となる消費税引き上げの議論や来年度予算案編成を前に、国民の関心を高め、改革の力にしようとする思惑が強いとみられた。 事実、年金制度について扱った最終日には、本来より高い年金支給の特例水準を2012年度から速やかに解消し、引き下げるべきだと具体的に提言した。生活保護への一部自己負担の導入も同時に提言した。 公的年金は原則として、物価に応じて給付額を増減させることになっている。ところが、1999年から01年の物価下落時に、高齢者への影響を考慮して必要な減額が見送られたままになっている。政策仕分けの議論では、「現役世代の賃金が下がるなかで、不平等感を是正する必要がある」「将来世代への負担先送りはもうできない」などの意見が相次いだ。 結局、しめくくりの議論に加わった小宮山洋子厚生労働相が提言を受ける形で、来年度から3年間で年金減額を実現することを表明した。議論では、財務省が特例により累計で約7兆円の「もらい過ぎ」が生じたとまで説明した。 給付削減と負担増を多くの国民が受け入れるかは、政府の今後の説明と野田佳彦首相の指導力にかかっている。仕分け3日目に会場を視察した野田首相は「国民の前で議論し、出てきた結論はしっかり受け止め、予算編成に反映させる」と言明している。年金の引き下げや消費税見直しには与党内に批判や反発が強いとみられ、正念場はこれからだ。 確かに今回の議論は「見せる」工夫はあった。むしろ「見せる」ことが目的化したとも言える。蓮舫行政刷新担当相は、会場を傍聴した人は4日間で3100人、インターネット中継は61万人が見たと成果を誇って見せた。しかし、国民の関心の高い沖縄の普天間飛行場の移設を含む米軍への経費負担や農業の戸別補償制度などは、あえてテーマから外している。 加えて疑問なのは、こうした政策仕分け的な議論が、なぜ国会や民主党内で公開して行えないのかということだ。国会に参考人として有識者を招くことは可能だし、テレビの国会中継もある。個別の制度や政策を議論する各省庁の審議会も同様である。この点で、小宮山厚生労働相が審議会の可視化導入に言及した点は評価し、今後の実現を見届けたい。
[京都新聞 2011年11月25日掲載] |