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求職者支援  雇用掘り起こし必須だ

 厚生労働省は、生活保護の受給者が、10月にスタートした「求職者支援制度」の職業訓練を理由なく拒んだ場合、生活保護の打ち切りを可能とする方向で検討を始めた。給付の実務を担う自治体側も同意しているという。
 生活保護受給者は200万人を突破して戦後最多を更新し、給付総額は3・4兆円を超える。深刻な事態に対応し、働けるのに働こうとしない受給者には厳しく対処しようというわけだ。
 経済的に困窮した世帯に必要最低限の金額を支給し、自立を促す生活保護制度の趣旨に鑑みれば当然の措置のように映る。だが生活保護費圧縮の目的が先行すれば、憲法が保障する生存権が軽んじられる恐れもある。受給者の実態を見極め、慎重な運用が必要だ。
 生活保護受給世帯のうち65歳以上の高齢者世帯が43%を占め、けがや病気で働けない世帯22%、障害者世帯11%、母子世帯8%と続く。働けるのに失業などで受給する人を含む「その他」は17%に達し、2008年のリーマン・ショック前の2倍になった。
 この「その他」の人に生活保護からどう脱却してもらうかが大きな課題だ。
 厚労省が目を付けたのが求職者支援制度の活用だ。もともとは未加入や加入期間不足などで雇用保険を受給できない人にパソコンなど職業訓練を提供し、就職に結びつけてもらう制度だ。
 自治体によっては、働ける受給者に対してハローワークで求職活動するよう指導し、従わなければ生活保護を打ち切るケースもある。厚労省は、自治体とすり合わせて制度化したい考えだ。
 ただ、厳しい雇用状況の中、こうした支援制度が効果を発揮するには工夫が要る。「生活保護を切るぞ」という圧力はある意味で効果的かもしれないが、訓練が就職に直結するほど甘くないはずだ。
 失業期間が長いほど再就職は難しくなる。意欲的に訓練に取り組む受給者に結果が伴うよう、雇用を掘り起こせるかどうかが制度の成否の鍵と言えよう。
 生活保護受給者の内訳で見逃せないのが、高齢者の多さだ。年金受給額が低かったり、無年金の人がほとんどとみられる。
 非正規労働者やニートと呼ばれる働かない若者が増加し、年金の未納や未加入が増えている。こうした人たちが高齢化し、将来、生活保護を受給するようになれば、財政へのダメージは甚大だろう。
 生活保護からの脱却を促すだけでなく、生活保護を予防する観点からも就労支援は重要だ。野田佳彦首相は、財政難を背景に「税と社会保障の一体改革」に意欲を燃やすが、雇用政策の裏付けが不可欠なのは言うまでもない。

[京都新聞 2011年11月27日掲載]

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