|
大阪ダブル選の結果は、既成政党に対する有権者の不信感の大きさを浮き彫りにした。 市長選は民主、自民各府連、共産府委が相乗りする形となった現職が橋下徹氏に敗北。知事選でも民主、自民が推す候補が敗れた。 橋下氏らが訴えた「大阪都構想」は、手続きや財源調整など具体的な内容は明らかではない。にもかかわらず、主要政党は橋下氏らの主張を突き崩せなかった。 政策論争以前に、政治の担い手として既成政党の存在が有権者の視野に入っていなかった。各党は深く反省しなければならない。 投票所で行った出口調査(共同通信)の結果からも、政党が信用されていない実態がうかがえる。 市長選、知事選とも民主、自民両党支持層のそれぞれ4割前後が橋下氏や同氏率いる大阪維新の会の松井一郎氏に票を投じている。 国政選挙のように党本部レベルの支援ではなかった面はあるが、各党が自らの支持層の心をつかめていなかったことは明らかだ。 背景には、東日本大震災の復興などが途上なのに、政党が内部抗争や権力闘争に明け暮れ、政治の役割を果たしていないと多くの有権者が感じていることがある。 復興をめぐる政権の意思決定にスピード感がなく、政策実現に向けた政治の強い決意も見えない。 社会保障改革も増税をめぐる民主党内の意見が割れたままで、とりまとめへの主導権を誰も握れていない。党内融和を優先する野田佳彦首相からは、批判を恐れず国民を説得しようという覚悟も気迫も感じられない。 こうした生ぬるい政治の在り方を見せつけられては、政党への失望感が広がるのも無理はない。 だが、ここであきらめては政党政治を自己否定するだけだ。各政党は国民生活に必要な政策を見極め、実現に向けて腹を据えて訴えていかなくてはならない。 大阪府議、市議も、議席を持つ政党人の務めを果たすべきだ。 維新の会が成立を目指す教育基本条例案などには、教員らへの過剰な処罰規定が盛り込まれるなどの問題も指摘されている。議会の場で行き過ぎや問題点をただし、議論を深めていくことが必要だ。 ただ、肝心の党中央が揺れている。橋下氏が既成政党の足元を見透かすかのように、次期衆院選で維新の会の候補者を擁立する考えを示しているからだ。 自民党の石原伸晃幹事長が協力に言及、民主党内にも橋下氏を引きつけるべきとの声がある。 選挙への影響を恐れて議会でのチェックに手を抜くなら、政党への信頼はさらに低下しよう。 ダブル選での敗北を、国、地方での自己改革につなげられるか。政党の覚悟が問われている。
[京都新聞 2011年11月29日掲載] |