|
国連の気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が南アフリカ・ダーバンで始まった。2012年で期限が切れる京都議定書に代わる国際的な枠組み作りを協議する。地球温暖化の影響はすでに顕在化している。締約国は危機感を持ち交渉に臨んでほしい。 二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの削減努力を途切れさせないよう、京都議定書に定めがない「空白期間」を作ってはならない。先進国と発展途上国の溝が埋まり、合意が得られるよう期待する。 交渉の中心は「ポスト京都議定書」と呼ばれる次期枠組み作り。昨年のCOP16で採択されたカンクン合意では、気温上昇を2度以内に抑えるため、先進国はより厳しい削減目標を掲げ、途上国は自主的な削減行動を取るとした。 カンクン合意を下地に、すべての国が加わった枠組みを作ることが究極の目的となる。この方向は日本の主張と合致する。 京都議定書は先進国だけを対象とし、大排出国の中国とインドは参加していない。米国も議定書から離脱しており、議定書がカバーするのは世界全体の排出量の27%にすぎない。温暖化防止の実効性は限られている。 しかし、新たな枠組み作りはまだ緒に就いておらず、空白期間を回避するには時間が足りない。そこで、途上国を中心に京都議定書の延長論が台頭してきている。 日本はこれに真っ向から反対している。日本や欧州連合(EU)など先進国の一部だけが削減義務を負う京都議定書は「産業競争力を損ね、不公平」というわけだ。議定書が延長された場合は「加わらない」と明言している。 日本の主張に一理あるとしても、何が何でも延長反対という姿勢は合意を妨げるだけだ。タイムリミットが迫る現実を見れば、EUが言うように、新たな枠組み作りに向けた工程表を条件に延長を認めてもよいのではないか。日本の削減努力が次期枠組みに正当に反映されるなら「正直者が損をする」ことにはなるまい。 日本とタッグを組んで「延長反対」を唱えてきたカナダが議定書から脱退すると報じられた。新たな石油資源採掘で排出が激増し、削減目標を達成できないからだ。 環境保護団体でなくても「ひきょうだ」と言いたくなる。こうした後ろ向きの行動が続けば、温暖化防止に向けた国際交渉そのものが壊れてしまいかねない。 肝心なことは、大排出国を国際的な排出削減の枠組みに引き入れることだ。米国はもちろん、中国やインドも相応の義務を負うべきだ。日本は声高に延長反対を言う前に、こうした国々を説得する外交努力を傾けたい。それが議定書の「母国」の責務だろう。
[京都新聞 2011年11月30日掲載] |