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党首討論  まず党内で議論深めよ

大局的にみれば、いまこそ国の進むべき道について、政治のリーダーが自らの考えを示し、互いに議論を深め合う時ではないか。そんな淡い期待は消し飛んだ。
きのう野田佳彦首相が就任後初めて臨んだ党首討論の舞台は、衆参両院の「国家基本政策」を議論する場であった。
環太平洋連携協定(TPP)や社会保障と税の一体改革、消費税増税など、将来の日本のかたちをどう描くのか。もちろん東日本大震災からの復旧・復興や福島第1原発事故の収束、超円高への対応など、国の行く末に関わる重い課題に、政治は立ち向かわなければならない。
しかし、野田首相と谷垣禎一自民党総裁、山口那津男公明党代表の議論を聞くと、別に党首討論でなくてもよさそうな内容だ。
国民の関心が高い消費税増税について、野田氏は「法案を出すのはわれわれの義務だ。年内をめどに結論を出したい」と決意を示したが、これまでの国会答弁を繰り返したに過ぎない。
TPP参加や社会保障と税の一体改革についても同様で、「与野党協議に応じてもらいたい」とひたすら呼びかけただけだ。
一方の谷垣氏も、消費税増税は民主党のマニフェスト(政権公約)に違反しているとして「国民にもう一度信を問うべきだ」と早期の衆院解散・総選挙を求めたが、これもまたいつもの主張だ。
ただ、本格討論につながりそうな突っ込んだ問いもあった。谷垣氏はTPP参加について「国益とは何か。美しい農村を守るといった抽象論ではなく、具体的に示してもらいたい」と迫った。これに対し、野田氏は「逆にお尋ねしたい。TPPに対し、自民党の立ち位置はどこにあるのか」と切り返してみせた。
しかし、それぞれ真っ正面から答えず、互いに言いっぱなしに終わったのは残念だ。
社会保障と税の一体改革についても、野田氏が素案をまとめた後に与野党協議を要請したのに対して、谷垣氏は閣議決定した成案でなければ、といった手順や駆け引きに終始した。
TPP参加や社会保障と税の一体改革をめぐっては、互いに議論がすれ違うような大きな隔たりはないはずだ。討論がかみ合えば、将来の国づくりに向けた深い議論となったかもしれない。
それぞれ党内に大きな異論を抱え、まとめ切れない事情がある。党首といえども党内に目を配りながら、政治家としての発言を控えているような印象だ。これでは党首討論の意義は半減だ。
むしろ必要なのは党内討論ではないか。厳しい議論に党首自らが臨み、意見をまとめ上げていくことで発言力は鍛えられるはずだ。

[京都新聞 2011年12月01日掲載]

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