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郵政改革法案が、ようやく国会で審議入りする。昨年来、3つの国会とも法案は継続審議や廃案になっている。これ以上の先送りは許されない。 4年前の10月、日本郵政公社が解散し、それまでは国営だった郵政事業は民営・分社化された。現在は、持ち株会社である日本郵政の下に郵便局、郵便事業、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の4事業会社がぶら下がる5社体制にある。 細かい分社化による弊害や不便が国民生活に影響が出始めたことが、民営化見直しの理由だった。郵便物の配達について郵便局に照会しても、担当は郵便事業会社のため、即答できない。東日本大震災の被災地では、配達中の郵便職員が貯金の扱いができないことに利用者の不満が出たという。 一方で、グループ各社の経営は悪化している。郵便事業は電子メールなどの新しい通信手段に押されて取扱数は毎年3%減り、2年連続で赤字だ。郵便貯金残高、保険契約数の減少は続いているが、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の黒字で何とかグループ全体の経営を支えている。 がん保険や住宅ローンなど新規事業進出や収益増加につながる貯金の預入限度額の引き上げも課題だ。民間との競争力をゆがめてはならないのは当然だが、経営の将来像も描けないまま、宙ぶらりんな状態は放置すべきではない。 法案では、5社のうち郵便局と郵便事業を日本郵政に統合し、その下にゆうちょ銀行とかんぽ生命を置く。政府は日本郵政の3分の1超の株保有を続ける。金融2社の株は日本郵政が3分の1超を持つ仕組みだ。 現在は、国が保有する郵政株の売却は凍結されている。法改正され、株の3分の2近くを売れば、数兆円規模になる。震災復興の大きな財源となるため、法案審議が加速すると見られたが、国会終盤まで審議入りできなかった。 ここに至って、民主党が「質疑時間を確保し、丁寧に審議を進める」と合意文書を示し、採決を強行しないと約束したため、きのう審議入りが決まった。「民営化の逆行だ」と反発する議員を抱えて党内対立を恐れる自民党が態度を軟化させた。公明党は震災復興財源の確保に軸足を置いて与野党協議に前向きな姿勢を見せている。 過疎地を含む全国津々浦々に2万4000局ある郵便局網は、国民の共通財産と言える。アルバイト職員を加えると40万人にものぼるグループ職員は、地域の雇用と経済の支え手でもある。 会期延長が検討されるが、今国会は9日までしかない。今後の国会審議では、一致点を見つけて折り合う与野党協議の本来の姿を見せてほしい。
[京都新聞 2011年12月01日掲載] |