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就活スタート  「生きがい」考える場に

2013年春に卒業予定の大学3年生が1日、就職活動をスタートさせた。東日本大震災の影響や長引く円高など、経済環境は厳しいが、学生には自分を見つめ、じっくり取り組んでもらいたい。
3年生の就職活動は例年よりも2カ月遅れで始まった。これまでは10月から企業の説明会が始まり、4年生の4月以降に面接や試験などの選考活動が行われてきた。
だが、大学側から「学生の学ぶ機会を奪い、大学教育を空洞化させる」との批判を受け、経団連が今年、加盟企業の採用指針になる「倫理憲章」を見直したからだ。
専念すべき学業への配慮は当然だ。ただ、選考活動は4月以降のまま据え置いたため、説明会が短期間に集中することにもなった。
1日には京都の大学でセミナーも開かれたが、学生、企業双方から日程が過密化し、重複しないか影響を危ぶむ声が上がる。接点を確保する工夫は学生、企業ともにこれまで以上に求められよう。
企業の中には採用担当者がインターネットの交流サイト「フェイスブック」や短文投稿サイト「ツイッター」に情報を発信するところや、授業と両立できるよう説明会を週末に開催する動きもある。
学生から見れば、情報収集で差がつくことにもなってしまう。大学側のサポートが欠かせない。
中小企業には学生が企業を選ぶ時間が減った分、大企業志向が強まるのでは、との懸念もあるようだ。そもそも選考活動を4月以降に据え置いたのは、大企業に遅れて始まる中小企業の採用に配慮してのことだ。短期化で大企業シフトが強まれば本末転倒である。
希望した就職先に採用されず、留年や大学院進学に「避難」する学生も少なくない。一方で求人はあるのに就職できない学生がいる「ミスマッチ」は広がっている。
12年3月卒業予定の4年生の就職内定率は、10月時点で59・9%と過去2番目の低水準だ。日本経済を支えてきた企業の源泉は人材である。いびつな社員構成を防ぐためにも、次代の人材を育てるという大きな視点を持ってほしい。
大学側にも意識を変えてもらいたい。採用活動では大企業に遅れをとる中小・中堅企業の担当者らを学内に招き、働く姿を学生に紹介してほしい。大企業への「就社」が将来の安定を意味した時代ではない。「生きがい」とは何かを、学生が考える機会ともなろう。
経済同友会などは面接などの選考活動を4年生の8月以降とするよう主張している。世界に通用する人材を求めながら、就職活動が海外留学を阻害している現状は確かにおかしい。背景にある新卒一括採用の見直しも必要だ。就職活動は社会の入り口である。多様で再挑戦が可能なものにすべきだ。

[京都新聞 2011年12月03日掲載]

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