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東電の中間報告  甘い事故検証では困る

当事者として厳しい反省と、今後の教訓にすべきという強い意思を持った検証が十分になされたとは思えない。
東京電力が福島第1原発事故について社内事故調査委員会の中間報告書を公表した。
報告書は、現場の要員を中心に延べ250人以上から聞き取りし、討論を踏まえてまとめられた。
大地震と津波による電源喪失から炉心溶融に至る経過は詳しく記されている。しかし、すでに明らかになった事実を並べただけという印象は拭えない。社外から出ている「津波の前に、地震の揺れで機器が損傷を受けなかったか」といった疑問を否定しながら、その根拠は推定にとどまるなど、未解明の部分を残したままだからだ。
放射性物質を含む蒸気を原発から外部に放出するベントや、1号機の非常用復水器の停止など要員が行った操作をおおむね肯定している。論拠が薄弱で、内部調査の「甘さ」と取られかねない。
事故原因は「想定をはるかに超える巨大津波」と強調している。「東電は国と一体となって過酷事故対策をしてきたものの、全電源喪失を想定していなかった」とも記載する。国を引き合いに出した責任回避のように映る。
原発事故の被害の甚大さを考えれば、多重に安全策を講じるのは当然だ。たとえ国の指針に適合していたとしても、過酷事故への備えが不充分だったのは明白だ。
この点を、外部専門家による検証委員会が「事故発生と拡大は、事前の安全対策が十分でなかったことによる」と批判し、「対応はあらかじめ詳細に定めておくべきだった」と指摘していた。こちらの方が納得できる。
さらに、東電が2008年、想定していた5・7メートルを超える最大10・2メートルの津波が襲うと試算したことに報告書は触れている。だが、これを「根拠のない仮定に基づくもの」として対策を取らなかったことを正当化している。
今回の津波は14~15メートルまで達し電源喪失と大事故につながった。この事実を、調査委はどう受け止めるのか。外部検証委が事故の背景を「関係者が『安全神話』から抜け出せなかった」と批判したのもうなずける。
原子炉建屋など立ち入りできていない場所があり、原子炉内部の状況ははっきりとしない。とは言え、事故後9カ月近く経過した時点でのまとめとしても不十分と言わざるを得ない。
最終報告に向けて厳正な調査に努めてほしい。
政府や国会、民間シンクタンクもそれぞれ独自調査と検証を進めており、外部からの厳しい視点で真相解明が期待される。東電は、それらへの情報提供に協力しなければならない。

[京都新聞 2011年12月04日掲載]

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