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イランの首都テヘランで起きた学生らによる英国大使館乱入事件をめぐり、イランと国際社会の緊張が高まっている。 英国は在イラン大使館を閉鎖、在英のイラン外交官に国外退去を求める厳しい措置をとった。 発端はイランの核開発疑惑と、それに対する米英などの制裁強化だ。反発した学生が暴徒化した。 英大使館への乱入をイラン当局が黙認したとの見方も出ている。対立は容易に収まりそうにない。 イランはまず、核開発疑惑が取り除かれるよう説明を尽くすべきだ。国際社会もこれ以上の緊張を高めないため、話し合いを含めた問題解決の道を探ってほしい。 国際原子力機関(IAEA)は先月、イランが核兵器に使われる高性能爆薬実験や、中距離ミサイルへの搭載を想定した弾頭技術研究を行っていると報告書で指摘。イランに対し、疑惑解明に努めるよう求める決議を採択した。 これを受け、米、英、カナダは各国の金融機関にイランとの取引を見合わせるよう呼びかけるなど制裁を強化した。 一方、イランは英国との外交関係を格下げする法案を可決、首都では抗議デモが発生した。 欧州連合(EU)がイランの100を超える企業の資産を凍結する追加制裁を決め、米国もイラン原油の輸入を減らすよう日本などに働きかける意向を示した。対立はエスカレートしている。 イランは2002年に秘密裏に進めてきた核開発計画が暴露された後も、国連安全保障理事会の度重なる制裁決議を無視して核開発を進めてきた。問題の根は深い。 13年の大統領選を控え、国内ではアハマディネジャド大統領派と反対勢力の権力争いが激化。反大統領派が世論を意識して強硬姿勢をとっているといわれる。 制裁を強化し核開発を封じ込めることは必要だ。疑惑施設への査察を認めさせるなどの対応を、強く迫ることが求められる。だが、締め付けが行きすぎれば、国内の権力闘争とも相まって、反米英活動の激化を招きかねない。 米国も、来年に大統領選を控えている。イランの抵抗が強まれば武力行使を求める強硬論が勢いづくことを心配する向きもある。 事態が混迷する前に、対立を解消できる場をつくれるよう、国際社会は知恵を出すべきだ。 日本にとっても、他人ごとではない。イランはサウジアラビアなどに続く第3位の原油供給国だ。仮に米国が輸入削減を求めてくれば、経済への影響も小さくない。 その立場を生かし、イランに疑惑の払拭(ふっしょく)を促してはどうか。外交力が問われる場面だ。それでもイランが聞かない場合は、制裁強化に加わるのもやむをえまい。
[京都新聞 2011年12月04日掲載] |