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前沖縄防衛局長の不適切な発言や沖縄に関する自身の言動で批判を受ける一川保夫防衛相の辞任要求が広がっている。 きのうの衆議院予算委員会でも野党が防衛相辞任や野田佳彦首相の任命責任を問う質問が続いた。連立を組む与党の国民新党も罷免を求めた。 野田首相は「これまで以上に襟を正し、職責を果たしていただきたい」と答弁し、一川防衛相をかばう姿勢を重ねて示した。国会の会期は4日しか残っていない。釈明や弁解に国会の審議時間を空費する余裕はない。野田首相は防衛相の更迭を決断し、沖縄の基地問題の解決や他の重要課題に全力を傾けるべきだ。 記者懇談の席とはいえ、前沖縄防衛局長の発言は言語道断だ。米軍普天間飛行場の辺野古移設に伴う環境影響評価(アセスメント)の提出時期を性的暴行にたとえた不見識にはあきれるしかない。女性や沖縄の人たちを侮蔑する以外の何ものでもない。 国土面積のわずか0・6%しかない沖縄県に在日米軍基地の4分の3が集中している。危険きわまりない基地を置く負担を背負ってきた沖縄の人たちにとって、普天間飛行場の移設先について鳩山由紀夫元首相の「最低でも県外」との発言は期待を持たせた。その後の経過を見れば、沖縄県民は約束を反故にされた以上に、政府が腹案なるものを実現しようと努力した形跡がまったくなかった点に怒っている。 自民、公明両党は、9日にも参議院に一川防衛相の問責決議案を提出する。他の野党も同調し、可決される見通しだ。首相や閣僚に対する問責決議は参院では過去に5例ある。いずれもそう間を置くことなく首相は退陣し、内閣改造で閣僚は交代している。 野田首相の任命責任も大きい。「安全保障は素人」と話す人物をあえて防衛相に起用し、1995年に起きた少女暴行事件については「正確な中身を詳細には知らない」と国会答弁している。少女暴行事件は県民の大きな反発を招いて日米両国を普天間飛行場移設に動かした出来事だ。この点でも防衛相としての資質が疑われる。 党内融和を優先した閣僚人事との指摘は、野田内閣発足当初からあった。一川防衛相が小沢一郎氏のグループに属し、輿石東民主党幹事長に近い立場にあることが、更迭をためらう理由だとしたら、国民の支持は得られまい。事実、共同通信の最新の全国電話世論調査では野田内閣の支持率は44・6%にいっそう低下している。 一川防衛相を交代させ、実現が見込めない辺野古移設以外の道を探り、年内を期限としたアセスメントの沖縄県への提出を見送ることしか、事態打開の道はない。
[京都新聞 2011年12月06日掲載] |