|
ロシア下院選で、プーチン首相の与党「統一ロシア」が議席を大きく減らした。 目標としていた憲法改正が可能な「3分の2」どころか、過半数維持がやっとだ。 来年3月に行われる大統領選で圧勝するための前哨戦、と位置付けていたプーチン氏にとっては誤算だろう。 有力な対抗馬が見当たらないため、プーチン氏の大統領職復帰は揺るがないが、影響力の低下や政権基盤の弱体化は避けられそうにない。 下院は二院制の連邦議会のうち国家会議と呼ばれ、定数450。比例代表制で、得票に応じて各党に議席を配分する。 統一ロシアは、前回選挙で得た315議席から70以上減らした。これとは逆に、野党の共産党や左派系の公正ロシアなどは議席を大幅に増やした。 この結果を、どうみればいいのか。 プーチン氏が大統領選への出馬を表明したのは今年9月の統一ロシアの党大会。併せて、メドベージェフ大領は首相に就く意向を示した。 大統領と首相が権力を分担する「双頭体制」の継続を意味するが、議席減の一番の理由は、「ポスト交換」の不透明さ、国民不在の「権力のたらい回し」に対する有権者の反発ではなかったか。 プーチン氏中心の政治体制が長期化することへの懸念もあったに違いない。 2000年に大統領になったプーチン氏は2期8年務めると、メドベージェフ氏を大統領に据え、自身は首相となった。憲法で規定されている大統領の連続3選禁止に違反することなく、政治権力を維持する方便といえる。 この間、大統領の任期は6年に延長された。来年、大統領に復帰すると首相の期間も含め、最大24年間「プーチン体制」を続けることも可能だ。あまりに長すぎる。 リベラル派の側面もあったメドベージェフ大統領を支持してきた中間層などが離反したとしてもおかしくはない。 確かにプーチン氏にはソ連崩壊後の混乱を収めた実績がある。 だが、ロシア国民が今、求めているのはプーチン氏が推し進めてきた強権的な政治手法による「強いロシア」ではなく、地下資源に頼らない経済成長や官僚主義の改革、格差是正、汚職根絶などだろう。 政治的な変化を求めているともいえる。そこを読み違えないでもらいたい。 世界をみれば、「アラブの春」に象徴されるように独裁的な政治体制への反発が広がっている。 プーチン氏が再び強権的な手法をとるなら、国際的な政治潮流と逆行することになる。
[京都新聞 2011年12月06日掲載] |