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社会保障と税の一体改革大綱の素案を年内にまとめるよう、野田佳彦首相が指示した。 菅直人内閣が6月に決定した政府・与党案を具体化し、改革の工程を示さなければならない。政府・与党案が「2011年代半ばまでに消費税率を段階的に10%に引き上げる」と規定しながらあいまいに済ませていた、増税の時期や幅をどうするのか。 いよいよ増税に向けて具体的な議論に入る。政府・与党の「社会保障改革本部」の初会合で、野田首相は「改革に不退転の決意で臨む」と強い姿勢を見せた。しかし小沢一郎元代表を支持する議員グループがさっそく集まり、「タイミングによっては大変なことになる」と増税をけん制した。 足元の与党内で増税への反発が強まる中で、これまで党内融和を第一にしてきた首相のリーダーシップが問われることになる。 欧州の債務危機は対岸の火事ではなく、1000兆円近くの借金を抱えた日本の財政再建は待ったなしだ。持続可能な社会保障制度を支えるためには消費増税は避けられない。世論調査をみれば、国民の多くが将来に不安を抱き、相応の負担増を受け入れる覚悟を持っていることがうかがえる。 とは言え、増税だけが先走りし、社会保障のあり方をめぐる議論が後回しにされるようでは、国民は納得できない。 素案へのタタキ台として、厚生労働省が社会保障改革部分の中間報告を公表した。実現を目指す姿勢が明確な施策は少なく、引き続き検討する項目や中長期的な課題を多く残している。改革本部で詰めた議論をしてもらいたい。 この中間報告の中には、すでに消費税を財源として想定する施策が含まれている。質の高い教育・保育をめざす施策「子ども・子育て新システム」や基礎年金の国庫負担50%の恒久化などで、これらは来年の通常国会に法案提出をめざすとしている。 一方で来年度からの実施を掲げているのが、本来より2・5%高い水準となっている公的年金の支給額の引き下げだ。70~74歳の医療費窓口負担の引き上げは、「引き続き検討する」の項目に入っている。 国民からすれば、負担増・給付減につながる施策が多いように見え、生活の先行きが心配になる。だからと言って、子どもや孫に負担を付け回していいとは考えているわけではない。 低所得者への手当てを十分にした上で、受益と負担の抜本見直しを急ぐ必要がある。危機的な状況であることを国民は感じ取っているからこそ、厳しい目を向けるのだ。増税だけでなく、社会保障の将来像を示す踏み込んだ議論を聞きたい。
[京都新聞 2011年12月07日掲載] |