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粉ミルクから放射性セシウムが検出され、製造した明治は商品の無償交換に応じることになった。 検出数値は最大で1キログラム当たり30・8ベクレルと国の暫定基準値(1キログラム当たり200ベクレル)を下回る。粉ミルクをお湯に溶けば3~4ベクレル程度になり専門家は「直ちに人体に影響はない」とする。しかし、乳児が口にするものだけに消費者の不安は大きい。万全の対応を望みたい。 対象製品40万缶の原材料は北海道や米国、欧州などから埼玉県の工場に搬入され、加工された。福島第1原発事故の直後、3月14~20日に牛乳や水などを混ぜた原料を大量の外気に当てる乾燥工程があった。同社は、事故で大気中に飛散したセシウムが混入した可能性があると判断している。 工場の空気取り込み口には、ちりやほこりを除去するフィルターはあるが、放射性物質を想定しておらず、セシウムは吸着されなかったとみている。 乾燥工程が、原発建屋の水素爆発や、放射能を含む蒸気を原発外部に放出するベント操作などと時期が重なる。事故当初に国が詳細な情報を公開していれば、食品会社として放射能に対する警戒と対応が違ったかも知れない。国の初期対応があらためて問われよう。 他メーカーにも同様の製造工程や乾燥製法はあるという。 国は今回のケースの事実関係を詳細に検証するとともに、他メーカーでも調査を行うべきだ。 厚生労働省は、7~8月に明治を含む複数メーカーの粉ミルク25検体を調べたが、いずれも放射能の検出限界(5ベクレル)未満だったという。今回の検出は、福島県二本松市の市民団体が、明治の粉ミルクを測定し、セシウムを検出したため、詳しい検査を同社に求めたのが発端となった。厚労省の調査では、検体数が少な過ぎたり、製造時期や工程への考慮が不十分だったのではないかと疑問がわく。 こういうケースが他にも続けば、国が「安全だ」と言っても国民に疑念が広がろう。 原発事故で多量に放出された放射性物質が大気や水、土壌を汚染している現実を受け止めた上で、あらゆる可能性を念頭に国民への悪影響を防がねばならない。 特に食品に関しては、国や生産者が系統立った調査と厳しい監視を続ける必要がある。 消費者の側も、過度に恐れることはないが、家庭で不安があれば、自らチェックし対応するなどの心構えを持ちたい。 乳児は大人より放射性物質の影響を受けやすいとの指摘があり、厚労省は新たに粉ミルクや離乳食など乳児用食品群に関する厳しい基準値を検討中という。今回の例も教訓にして、国民が納得できる新基準の設定を急いでほしい。
[京都新聞 2011年12月08日掲載] |