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東電「国有化」へ  被害住民の救済第一に

東京電力を実質的に国有化する方向で検討されていることが分かった。福島第1原発事故の賠償や廃炉などを確実に進めるには、巨額負担による経営破綻を回避する必要があるからだ。
東電と原子力損害賠償支援機構が、公的資金による資本注入と取引金融機関からの追加融資で、2013年3月期から4年間で総額3兆円を調達する財務基盤強化策を実施しようというもの。それが実現すれば、政府設立の同機構が東電の株式の大部分を保有することになる。
放射能の拡散で生活を台無しにされた住民への賠償や、長期に及ぶ除染や事故処理を第一に考えねばならない。公的資金は税金であり、企業としての東電を守るための投入であってはならないことは言うまでもない。
政府の第三者委員会「経営・財務調査委員会」の報告によると、事故に伴う賠償額は13年3月末までで4兆5千億円にもなり、自主的避難者への賠償を加えればもっと膨らむ。廃炉費用は少なくとも1兆1500億円と試算され、除染費用は不透明だ。
一方、東電と同機構が共同で作成した特別事業計画をみると、12年3月期の決算は5763億円の赤字、純資産は7088億円と1年前より半減する見通しだ。今後、債務超過になるのは避けられない情勢である。
被害住民にとっては賠償費用が心配だが、原子力損害賠償支援機構法に基づいた政府支援の仕組みがあり、東電の経営破綻に直結しない。ただし、東電が法的整理に陥れば、被害者の賠償請求の対象を失う恐れが出てくる。そういう意味でも東電破綻を防がなければならない。
廃炉費用は政府支援の対象外のため、電気事業で自力で捻出する必要がある。電気料金の値上げや停止中の柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働をめざす考えといっても、政府内は慎重論が根強く、メドは立っていない。
東電は約7400人の人員削減、給与・賞与削減の継続、年金給付額のカットなどを掲げているが、これまでの組織の存続が前提となっている。しかし、いまや求められているのは経営の抜本的な見直しだ。
国有化に伴い、経営陣の大幅刷新や外部登用が求められよう。これを足がかりに、電力業界の改革につなげてもらいたいものだ。電力会社による地域独占に風穴をあけ、他事業者参入による競争、発電と送電の分離への突破口になるかもしれない。
原発の安全神話から脱原発依存へ、という国民の意識変化に、いまだに電力業界は対応していない。東電の改革を、被害者と国民は厳しい目で見ている。

[京都新聞 2011年12月09日掲載]

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