社説 京都新聞トップへ

「京都」不参加  日本は交渉姿勢改めよ

日本は京都議定書を葬るつもりなのか。
南アフリカで開かれている気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)閣僚級会合で、細野豪志環境相の演説に各国の批判が集中した。2012年で期限が切れる議定書の延長に反対するだけでなく、延長された場合も「加わるつもりはない」と言明したからだ。
日本は京都議定書に代わる新しい枠組みを作るよう主張するが、議論の道筋さえできていない。このままでは13年以降の排出削減を定めた国際規約はなくなってしまう。進行する地球温暖化への対策を途切れさせてはならない。
COP17では、どういう条件下で京都議定書を延長させるかが交渉の焦点になりつつある。日本は延長反対で共闘するロシア、カナダとともに交渉に取り残され、存在感を失っている。新たな枠組み作りを目標としつつ、当面の措置として延長を受け入れる柔軟性と覚悟を持つべきだ。
一方で日本は、延長された京都議定書に参加しなくても、発展途上国での排出削減事業を支援した見返りに削減量の一部を自国の削減量に算入できるクリーン開発メカニズム(CDM)を引き続き利用できるよう求めている。すでに日本企業による投資が相当額にのぼり、引くに引けないからだ。
こうしたご都合主義が通用するはずがない。CDMが使いたければ京都議定書の延長に参加せよ、と言われて当然だろう。
交渉の最大の障害となっているのは排出量で世界1位と2位を占める中国と米国だ。貿易競争の相手である両国は互いにけん制し、京都議定書に代わる新たな枠組みへの参加には後ろ向きだ。
日本は「米国と中国を橋渡しする」と会議に臨んだが、米中両国に交渉打開への決断を促すなどの外交努力は見えない。
細野環境相は「震災、津波、原発事故という国難にあっても、気候変動問題で世界に貢献する意欲は失っていない」と訴えた。しかし、温室効果ガス25%削減の中期目標すら公言できないようでは、その意欲を疑われかねない。
日本の硬直した交渉姿勢の根底には「削減義務を負うのは国際競争で不利。国益に反する」という一部産業界の声がある。本当にそうか。
例えば、需要が急速に伸びている太陽光発電パネルの生産で、かつてトップだった日本が中国に大差をつけられたのをみれば、産業界の保守的な体質こそ問題だ。世界の趨勢(すうせい)を見極め、温暖化をビジネスチャンスに変える発想を産業界全体で共有する必要がある。
交渉はヤマ場に差し掛かっている。議定書ゆかりの京都から温暖化防止を願うメッセージを現地へ届け、政府の尻をたたきたい。

[京都新聞 2011年12月09日掲載]

バックナンバー