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ユーロの将来  「財政主権の壁」克服を

欧州債務危機の打開に向け、欧州連合(EU)首脳会議がユーロ圏から国際通貨基金(IMF)への拠出や各国の財政規律強化策などを柱とする対応策を決めた。
IMFへの拠出は最大2千億ユーロ(約20兆7千億円)。財政規律策は単年度赤字を国内総生産(GDP)比0・5%以下にすることや、財政赤字がGDP比3%を超えた国に自動的に制裁を科すという。
ユーロ導入国が共同で保証する共通債は結論を先送りした。財政危機国を支援する欧州安定メカニズム(ESM)の設立は前倒しするものの、ESMに銀行免許を与えて資金調達できるようにする試みは実現に至らなかった。
各国の利害対立が少ない部分で合意し、目の前の危機をやり過ごそうとの印象を受ける。財政規律策の実効性には疑問符もつく。抜本的な対応策とは言い難い。
欧州の危機にどう対応するかが注目された首脳会議は、各国の足並みの乱れが浮き彫りになった。
共通債やESMへの銀行免許付与案は、ドイツが反対した。経済が好調で、財政難の国への支援に批判的な国内世論が背景にある。
財政規律を強化する財政協定の締結には英国が難色を示した。欧州最大の金融街ロンドン・シティーを抱え、独仏首脳が共同提案した金融取引税導入などの規制から金融業界を守ろうとの思惑だ。
通貨を統合しているのに財政運営の権限は各国が握り続けている本質的な問題が、あらためて壁となって立ちはだかった形だ。
EUが結束して危機に対応するには、各国の「財政主権」を譲り合い、協調に向けて努力しなくてはならない。だが、首脳会議では逆に亀裂が目立つ結果になった。
ユーロ共通債などに反対したドイツには、EU内から「財政規律ばかりで市場対策への関心が乏しい」との批判が出ている。
財政協定に加わらない意向の英国は、EU加盟27国で唯一の不参加国となる可能性があり、国内から孤立化を危ぶむ声も出ている。
ドイツや英国が自国の都合を優先させる姿勢をとり続けるなら今後、欧州危機へ結束して対応していくうえで障害となりかねない。
首脳会議は終わったが、危機が収まったわけではない。
イタリアやスペインの国債の利回りは高止まりし、米国の格付け会社は欧州15カ国などの国債格付け引き下げに言及している。
財政健全化のための緊縮政策が税収のマイナスにつながり、抜本解決を遅らせることもありうる。
EU各国には、いっそうの協調姿勢が求められている。共通債など先送りした課題への対応を急ぐべきだ。そのためには、各国の財政運営権のあり方について具体的に議論を進めることが不可欠だ。

[京都新聞 2011年12月13日掲載]

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