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米軍移転費削除  「辺野古」見直す機会に

米議会上下両院の軍事委員会が在沖縄米海兵隊のグアム移転関連予算を削除することで合意した。
グアム移転は、日米合意に基づく普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設とセットで計画されている。
辺野古への移設計画には、地元沖縄の反対が根強い。グアム移転に予算面からストップがかかることで、普天間移設問題の先行きはいっそう見通せなくなった。
このまま移設計画を進めても状況が変わる兆しはない。辺野古への移設はいったん棚上げし、日米で新たな方策を再検討すべきだ。
グアム移転は、2006年の在日米軍再編のロードマップに基づく。在沖海兵隊約8千人と家族約9千人を移し、102億7千万ドルの費用の6割を日本が負担する。
削除する2012会計年度分の予算は、空軍基地拡張など約1億5千万ドル(約117億円)。
米議会は史上最大規模の財政赤字削減へ、国防予算の圧縮をオバマ政権に求めている。進展のめどが立たない普天間移設計画に予算は配分はできないということだ。
現行計画に見通しがつかなければ、次年度の国防予算でも予算確保が難しくなり、普天間問題は完全に行き詰まる可能性が高い。
ただ、オバマ政権は軍事戦略上「海兵隊が沖縄から手を引くことはない」(米高官)としている。大統領も11月に、アジア太平洋地域への関与拡大を最優先とする新戦略を発表したばかりだ。
米民主党の大物議員は「(普天間)移設が進めば間違いなく削減措置を解除する」と、日本側に移設に向けた努力を促している。
日本政府が辺野古への移設計画に関する環境影響評価(アセスメント)の評価書を年内に県に提出するとしているのは、移設計画の前進に努力する姿勢を米議会側に示す意図があるとみられる。
しかし、前沖縄防衛局長の県民を侮蔑する発言や、沖縄に関する言動で問責決議を受けた一川保夫防衛相の不見識に、政府に対する沖縄の不信感は極まっている。
評価書提出など辺野古移設の手続きを無理に進めようとすれば、沖縄の人々のさらなる反発を招き、事態は袋小路にはまり込む。
状況を打開する糸口を見いだせないまま時間が過ぎ、普天間飛行場が固定化することは、何としても避けなければならない。
そもそも普天間移設を決めた日米合意は、沖縄の負担を軽減することが前提にあったはずだ。基地を抱える痛みをやわらげることとアジア太平洋地域を安定させる戦略は矛盾するものではない。
グアム移転予算の削除という新たな状況は、現行計画を見直すには良いきっかけだ。日米両政府は熟慮し、決断してほしい。

[京都新聞 2011年12月15日掲載]

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