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イラク戦争終結  歴史に向き合う総括を

オバマ米大統領が米陸軍基地での演説で、イラク戦争終結を宣言した。
イラク駐留米軍の完全撤退に向けた最後の作業が完了し、「われわれは安定したイラクを後にする」とイラクの民主化を戦争の大きな業績として自賛してみせた。
そうだろうか。オバマ氏は大統領になる前、「愚かな戦争」と批判していた。今では戦争の是非は「歴史家が判断する」と評価を避けているが、9年に及ぶ戦争がもたらしたものを総括すれば、歴史家に聞くことはない。まさに「愚かな戦争」だったと言わざるを得ない。
2003年3月、ブッシュ前大統領が開戦に踏み切ったが、その理由であったイラクの大量破壊兵器開発は、後に虚偽情報と分かった。フセイン独裁政権を倒したあと、かえって市民を巻き込んだ反米自爆テロや宗派対立が激化、イラクは内戦状態に陥った。
死亡した米兵は約4500人。イラク人の民間犠牲者は約11万5千人に上ると推計され、この中には米軍などの誤爆による死者も数多くいる。
アフガニスタンも含め予算化された戦費はこの10年で1兆3千億ドルにもなるという。この巨額戦費が、米経済を疲弊させる大きな要因となったのは間違いない。
最大17万人が展開した米兵の中には、心身に深い傷を負った者も少なくなく、帰還後の社会復帰が重い課題になっている。
思い返せば、国連安全保障理事会の支持を得られぬまま始めた戦争だった。結局、米国は国際的な信頼を失い、中東への影響力も低下した。「愚かな戦争」の代償はあまりに大きい。
真っ先に開戦支持を表明した英国は経緯を検証したが、日本では政権交代後に岡田克也外相が「どこかで総括したい」と述べただけで終わっている。
イラク南部サマワへの陸上自衛隊派遣や、航空自衛隊の空輸活動で日本は深く関わっている。完全撤退の節目に検証しておく必要があるのではないか。
米軍の完全撤退の前に、イラクの治安は再び悪化し、武装勢力の自爆テロなどで10月には市民161人が犠牲になっている。スンニ派とシーア派、クルド人の対立は強まる様相をみせ、石油埋蔵量世界4位の利権も絡んだ動きが出ているという。
米国はイラク治安部隊の訓練などで関与を続ける。しかし、戦争で家族を奪われたイラク市民の米国を見る目は厳しい。
イラク再生は、まず治安を回復させたうえで、自立を支援する形で進めるべきだろう。それを米国だけでなく、日本を含めた国際社会が担う必要がある。

[京都新聞 2011年12月16日掲載]

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