社説 京都新聞トップへ

社外取締役  実効性ある導入めざせ

法制審議会の部会が会社法改正に向けた中間試案で、大企業に社外取締役の選任を義務付ける案をまとめた。オリンパスや大王製紙で特異な企業不祥事が相次ぐ中で企業統治を強め、経営の透明性を高めるのが狙いだ。
東京証券取引所は上場ルールで大企業に1人以上の社外監査役か社外取締役を置くことを求めているが、現状では上場企業の半数は社外取締役を選任していない。企業統治の改善につながっていないことから、法相が昨年、法制審に検討を諮問していた。
中間試案は、社外取締役の選任は会社法上の大企業(資本金5億円以上か負債200億円以上)か有価証券報告書の提出義務のある企業に求める。利害関係者のなれ合いを防ぐため、社外取締役は取締役の親族や過去10年以内に親会社の取締役だったOB、親会社の取締役からは登用できない。
米国は、上場企業に対し過半数の役員を社外から起用するよう義務付けている。一方で、日本国内の上場企業の株式の4分の1以上を外国人投資家が持っている。社外取締役が一般的である欧米の投資家は、以前から日本の現状に批判的だ。社外取締役導入は、国際化が進む株式市場を考えれば、避けて通れないのではないか。
ただ、社外取締役が形だけの導入になっては有名無実化する。1000億円を超える損失を長年にわたって隠し続けていたオリンパスには、社外取締役が3人もいたのに不正を見逃した。社長の友人や取引先から選んだ独立性に疑問のある社外取締役がお飾りに使われ、経営のチェック機能を失っていた事実は教訓とすべきだ。
社外取締役に適した人材は限られる。1人で何社もの社外取締役を掛け持ちする結果、取締役会への出席率が低くなるようでは、制度の意味自体がなくなる。
中間試案はまた、親会社の株主が子会社の役員への責任追及を可能にする「多重代表訴訟制度」の創設も検討している。会社に損害を与えた役員に損害賠償を求める株主代表訴訟の対象を拡大することで、子会社を使った不正を防止する狙いがある。
経済界には社外取締役の義務付けに反発がある。「有用さは否定しないが、導入は各企業が判断すればよい」「経営が機動性を失う」などの指摘だ。
法務省は近くパブリックコメント(意見公募)を始める。政府は民主党財政金融部門会議の議論も踏まえ、来年中の会社法改正案の国会提出を視野に入れている。今後の議論では、企業側の主張にも耳を傾け、社外監査役の機能強化とともに、社外取締役の目を経営の透明化につなげられるよう実効性のある手立てを探ってほしい。

[京都新聞 2011年12月16日掲載]

バックナンバー