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原発汚染水  海洋放出は許されない

事故処理作業が続く福島第1原発で、浄化した汚染水が増え続け深刻な問題になっている。
建屋地下にも地下水が流入しており、処理しなければならない水は増える一方だ。保管場所の確保に関係者は頭を痛めている。
見過ごせないのは、東京電力が汚染水を海洋に放出する可能性を否定していないことだ。放出された汚染水に含まれる放射性物質の濃度が基準値以下であっても、海産物などを通じて人体にどう影響するかについては不明な点が多い。
政府と東電は、汚染水の保管場所を十分確保し、海洋放出はやめるべきだ。地下水の流入防止など汚染水を増やさない対策にも万全を期してほしい。
東電は8日、低濃度汚染水を海に放出する計画を示したが、漁業団体から抗議を受け、撤回した。
その後の経済産業省原子力安全・保安院への報告では「安易な放出は行わない」とする一方、「現時点で海洋への放出は未定」と、今後の放出に含みを残した。
東電は事故直後の今年4月にも放射性物質を含む約1万トンもの汚染水を海に流した。より濃度が高い汚染水を施設に移すためのやむをえない措置と説明されたが、国際的に厳しい批判を浴びている。
それでも海洋放出の選択肢を温存せざるをえないのは、汚染水のタンクを敷地内で保管する容量に限界が見え始めているためだ。
タンクは14万トン分を設置予定だが、地下水が1日200~500トン流入しており、来年3月上旬にも満杯になる見通しだ。政府や東電は、敷地外も含めて幅広く保管場所を検討してほしい。
政府がまがりなりにも原発の「冷温停止状態」を宣言できたのは原子炉の冷却システムが試行錯誤の末、機能したことが大きい。
だが今月4日、システムの一部から基準値の約300万倍ものストロンチウムを含む汚染水150リットルが海に流れた。汚染された水を外部に流出させない対策をいっそう強化する必要がある。
汚染水から放射性物質を除去した水を原子炉冷却に再利用する現在のシステムは、全長4キロの長大な区間をホースでつないでおり、トラブルも多い。簡便で効率の良いシステムへの改良を急ぐべきだ。
原発にたまった地下水が海へ流れないようにするため、原発敷地の海側に長さ800メートルにわたって金属製の遮水壁を地中に埋め込む工事が始まっている。2年もかかる工期をできるだけ短縮し、流出を最少にとどめる必要がある。
汚染水との闘いはこれからが本番だ。水の封じ込めにあらゆる知見を総動員してほしい。安易な海への放出が、国際社会にも向けた「収束宣言」と矛盾しかねないことを肝に銘ずるべきだ。

[京都新聞 2011年12月18日掲載]

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