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次期戦闘機F35  国民が納得する選定か

政府は、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)として、米国主導で国際共同開発中の最新鋭ステルス戦闘機F35の導入を決めた。
2016年度納入を目指し、12年度予算案に4機の取得費を計上する。老朽化したF4戦闘機に替えて計42機を導入する計画で、整備、修理費を含めれば総額1・6兆円規模となる。
財政が厳しい中で巨額の出費だ。政府は、国民が納得できる選定理由と今後の見通しを十分に説明する必要がある。
次世代戦闘機とされるF35は、機体形状や特殊塗装で、レーダーに探知されにくいステルス性能が格段に優れているとの評価だ。
日本周辺で軍事活動を活発化する中国やロシアが、15~18年にも同レベルのステルス機の開発、配備を始めると見られる。航空自衛隊が、それに対抗する高性能機を強く求めている事情はあろう。
しかし、開発途上のF35は、機体に亀裂が入るなど不具合が相次ぎ、開発が遅れている。納入が日本政府の目指す16年度に間に合わない恐れも指摘されるなど、F35選定の疑問点は少なくない。
総費用が膨らまないかという懸念もある。12年度分は本体価格として交換用の部品を含めて1機当たり99億円を計上した。だが、約2400機の購入を計画する米国に、国防予算圧縮の中で購入機数の見直し論が出ている。さらに開発が長期化すれば1機当たり価格が上がる可能性がある。空自は、20年ごろ退役期に入る現在の主力戦闘機F15の後継にもF35を想定しており、そうなれば調達機数や総額が膨らむのは確実だ。
F4の運用は16年度が限界とされる。F35の配備が遅れれば、空自の部隊運用に影響し、防空体制の見直しを迫られかねない。価格や納期がいまだ確定しない戦闘機を、米側の説明を信じて購入を計画する姿勢には首をひねらざるを得ない。
当初はFXの本命とされた米国製ステルス機F22を、米側が軍事機密重視の立場で輸出禁止とし、さらに生産中止が決まり断念した。米側の思惑に振り回された苦い経験を忘れてはいけない。
F35の採用は、将来にわたる米軍との「相互運用性」を重視した結果であろう。今回の決定で、米軍と自衛隊の一体性がより深まるのは確実だ。アジア太平洋地域への関与を強める米軍戦略にさらに強く組み込まれないとも限らない。
日本の軍事的能力の強化を懸念する近隣諸国の警戒を拭う努力が必要だ。国の安全を守るために最新鋭の戦闘機を高額をかけて配備し、それが、周辺国との軍事技術の競争や軍拡、緊張を招くことになっては本末転倒だ。その点でも国は慎重な振る舞いと、国民が納得できる説明をすべきだ。

[京都新聞 2011年12月21日掲載]

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