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巨額の損失隠しが問題となっている精密機器大手オリンパスの本社と関係先を、東京地検特捜部などが金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで一斉に家宅捜索した。世界的に注目を集める粉飾決算疑惑は刑事事件に発展した。 株主や投資家を裏切り、日本企業や市場への信用を失墜させた責任は重い。不透明なカネの出入りを解明し、責任を明確にすることが信用回復の第一歩だ。 米連邦捜査局(FBI)や英重大不正取締局(SFO)も動いている。内外の捜査機関が縄張り意識を捨てて連携し、国際的な広がりを持つ事件の全容解明につなげてほしい。 オリンパスが設けた第三者委員会の調査報告によると、同社は1990年代に財テクの失敗で抱えた巨額の含み損を、系列の投資ファンドに移す「飛ばし」によって隠した。その後、国内企業や英医療機器メーカーの株をファンドを通じて高額で買収することで、含み損を穴埋めした。 穴埋め額は1348億円にのぼる。英国人のマイケル・ウッドフォード前社長が告発するまでこれほどの損失を隠し通せたのは、イエスマンで固めた閉鎖的な経営体質に原因があるのは明らかだ。 第三者委の調査はこうした問題点を明らかにしたが、強制力がなく限界があった。具体的な経理操作をいつ、誰がどう指示したのかがあいまいで、菊川剛前会長ら旧経営陣への聞き取りも不十分だ。 また「飛ばし」や企業買収に関与し、多額の報酬を得ていたとされる大手証券会社OBや外国の銀行員らの行動もはっきりしない。買収先企業の株価の高騰も不自然で、株価操作の疑いもある。 捜査には特捜部と警視庁捜査2課、証券取引等監視委員会が合同で当たる。押収した資料を分析するとともに関係者への事情聴取を進め、年度内の立件を目指す。 すでにFBIが証券会社OBに接触するなど海外の捜査機関が高い関心を示している。オリンパスの背後にある、投資ファンドを介した国際的な怪しいマネーゲームを問題視しているからだろう。 問題発覚以来、国際優良株だったオリンパスの株価は3分の1に暴落した。損失隠しに伴う決算訂正で自己資本が大きく目減りし、1千億円増資の検討を余儀なくされている。損失を被った投資家から株主代表訴訟を提起される可能性もある。経営再建は前途多難だ。 告発後も問題を隠そうとした現経営陣の責任は重い。高山修一社長は来年2月以降に臨時株主総会を開き、総退陣する意向だ。捜査への全面協力はもちろん、この機に経営体制と社風を一新し、解体的出直しを図ってほしい。
[京都新聞 2011年12月22日掲載] |