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厚生労働省の薬事・食品衛生審議会放射性物質対策部会が、食品に含まれる放射性物質の新しい基準値案を了承した。現行の暫定基準値より大幅に厳しい値になる。今後、文部科学省の放射線審議会での議論を経て、来年4月からあらゆる食品に適用する運びだ。 現行の暫定基準は、東京電力福島第1原発事故を受けて今年3月に緊急に決められた。放射性セシウムの年間被ばく線量の限度を5ミリシーベルトとして算出した値で、これをもとにコメなど穀物や飲料水、肉、野菜など人が口にする食品ごとに1キログラム当たりの限度値を決めて、出荷停止措置の基準にしてきた。 新たな基準値は、厚労省が食品からの放射性セシウムの許容被ばく線量を暫定基準の5分の1の年1ミリシーベルトに引き下げたことに伴い、食品ごとに見直していた。各地で放射性物質の検出濃度が低下傾向にあることも背景にある。 新基準の検討に当たって、厚労省は食品区分に「乳児用食品」を新設した。幼い子を持つ父母から「子どもにはより厳しい基準を」との声が寄せられたといい、粉ミルクやベビーフードなど乳児用食品の規制値は1キログラム当たり50ベクレルと、暫定基準の200ベクレルから4分の1に引き下げて設定した。妥当な措置といえる。 代替するものがない飲料水は10ベクレルと最も厳しく、牛乳は50ベクレルが新基準となる。子どもは大人の3倍以上も牛乳を飲むことを考えると適切な規制だろう。野菜や魚、コメなどは一括して「一般食品」とし、100ベクレルとした。食品について1キログラム当たり1200ベクレルを指標とする米国や400~1250ベクレルとする欧州連合(EU)と比べると厳しい基準といえる。 原発事故後、国民の食の安全への不安は大きい。今月初めには、食品大手が製造した粉ミルクからセシウムが検出され、製品回収が行われた。安全宣言した福島県では暫定基準を超える玄米が次々に見つかった。放射性物質を含む原発事故の汚染水が放出された影響からか、高濃度に汚染された魚も散発的に捕獲されている。 回収された粉ミルクは新基準以下の30ベクレル超だったが、不安解消と生産地での風評被害の防止に向け新しい基準の速やかな普及に政府は全力を挙げてもらいたい。新基準の適用は周知期間を考慮して4月からとし、市場や消費者の混乱を避けるため、コメと牛肉は9月末までは暫定基準値を適用する。 新基準が「安全側に立って最も厳しい内容」というなら、政府はメーカーや生産者、流通業者が新基準に効果的に対応できる道を探るべきだ。検査機器のさらなる配備を加速させ、前倒しで新基準が実質的に運用されるよう意を注いでもらいたい。
[京都新聞 2011年12月23日掲載] |