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来年度予算  理念見えない借金依存

2012年度の政府予算案が閣議決定された。
国債発行額が税収を上回る3年連続の異常事態だ。借金の依存度は約49%で過去最悪の数字となった。負担の先送りや会計上の方便で体裁を整えてはいるが、実質的には過去最大の96兆円規模に達する。財政再建はさらに遠のいた。
財源の手当てを省みず、要求を積み上げる予算編成のあり方はもう限界に達したといえよう。財政構造を根本から見直す理念と本来的な政治主導が求められている。
一般会計総額は90兆3339億円。表面上は11年度当初よりも2・2%減だが、基礎年金の国庫負担分に必要な2兆6千億円を、将来の消費税増税で返済する「交付国債」として別枠にしている。さらに、東日本大震災の復興費用を管理する特別会計が隠れている。
新規国債発行は目標の44兆円台に抑えたとはいえ、国と地方の借金を合計した長期債務残高は、12年度末見通しで937兆円に膨らみ、国内総生産の1・95倍にも達する。欧州の債務危機で財政悪化が深刻なイタリアの1・28倍をはるかに上回り、先進国では飛び抜けて悪い水準だ。
イタリアやギリシャは財政再建のため、年金などの社会保障費の大幅削減を迫られている。日本に早急な財政健全化が求められているのは間違いない。
にもかかわらず、予算編成で、歳出を絞り込んで必要な事業に集中させるという政治の理念が全く見えない。税金の無駄遣いをなくす民主党のマニフェスト(政権公約)はどこへ行ったのか。
公共事業費は11年ぶりの増額となった。震災の復旧・復興や防災対策など必要な事業はあるが、中止や見直しを宣言した大型事業が相次いで復活し、厳しい目で精査したのか疑問が残る。原発関連予算でも、特別会計などに切り込む思い切った姿勢はなかった。
野田佳彦首相が不退転の決意で取り組む「税と社会保障の一体改革」では消費税増税で国民に負担を求めることになる。ところが、国家公務員の給与削減も国会議員定数是正も先送りで実現できず、震災後に実施した議員歳費の削減も早々に元に戻した。身を削って危機感を訴える覚悟がなければ、国民の理解は得られまい。
借金に頼る財政構造は自公政権時代からの負の遺産といえる。政権交代で、民主党に期待されたのは、利害調整による予算を、国の将来を見据えた理念に基づく予算に組み替えることだった。
震災からの復興を急ぎつつ、借金依存体質を改め、少子高齢化社会でも持続可能な予算編成を実現することに、与野党を問わず政治家の責任が問われていることを自覚すべきだ。

[京都新聞 2011年12月25日掲載]

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