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民主党政権が改革の「一丁目一番地」と言い続けてきた地域主権改革に、黄信号いや赤信号がともりだした。焦点となっている国の出先機関の地方への移管に対し、中央省庁が最後の激しい抵抗を始めたためだ。 1993年の衆参両院での地方分権推進の決議以降、一歩一歩ではあれ進む地域主権の流れをここで途切れさせるのは許されない。 国の出先機関の地方への移管は中央省庁縦割りで行われる補助金の一括交付金化と並んで当面の改革目標だ。国土交通省の地方整備局、農林水産省の地方農政局の仕事の多くは自治体と二重行政になっており、議会や国民の監視が十分に届いていない。 30万人いる国家公務員の3分の2は出先機関で勤務する。出先機関の廃止で、行政の無駄を削減でき、民主党が唱える国家公務員総人件費の2割削減にもつながる。 昨年12月、菅直人首相時代に政府は出先機関を原則廃止し、事務と権限をブロック単位で地方の広域連合に移す行動計画を閣議決定している。 その後、東日本大震災のため、議論は中断したが、地域主権改革に「後ろ向き」と批判された野田佳彦首相が10月末の地域主権戦略会議の席上で「特に留意すべきは出先機関改革。お尻をたたいて進めたい」と述べ、あらためて来年の通常国会への法案提出に向けた強い決意を示した。 京都、大阪などの2府5県で発足した関西広域連合は、九州地方知事会ともに出先機関の受け皿となるべく名乗りを挙げ、出先機関の丸ごと移管を求め国側と協議を続けてきた。議論が大詰めを迎えた先週、内閣府が出先機関改革を骨抜きにし、国の関与を残そうとする方向性を唐突に持ち出した。 広域的組織の執行機関については知事らの合議制で行うとする従来案と併記する形で、首長と兼務しない選任の「長」を置くことや地域のブロック割りは法律で決めることを提案した。さらに「国からの事務・権限の移譲と併せて、関連する事務・権限をすべて広域的実施体制に持ち寄り、一体的に処理する」とまで提示した。 選挙で選ばれた複数の知事の上に立つ「長」とは何者なのか。誰がどう決めるのか。地方移管は口先だけで都道府県の権限まで出先機関に召し上げるのは乱暴すぎる。滋賀県の嘉田由紀子知事が「地域主権改革の理念と真逆。的外れな議論が霞ケ関(中央省庁)でされている」と批判するのは当然だ。 あからさまな省庁の抵抗は予想された事態だ。野田政権は地域主権実現の初心に立ち返り、住民が分権化社会の前進を実感できる出先機関の移管プランを明快に示してほしい。
[京都新聞 2011年12月26日掲載] |