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日中首脳会談  対北朝鮮連携、具体化を

野田佳彦首相は、中国の温家宝首相、胡錦濤国家主席と北京で相次いで会談した。焦点だった北朝鮮への対応では、朝鮮半島の平和と安定に向けて緊密に協力することを確認した。
来年は日中国交正常化40年にあたる。昨年9月の尖閣諸島沖での漁船衝突事件で冷え込んだ両国関係が一定改善されたことは歓迎したい。悪化していた互いの国民感情にも好影響を与えるだろう。
米国がアジア重視に外交戦略を転換し、東南アジア諸国を含めた「対中包囲網」を敷こうとするなか、中国は対日関係の安定を望んでいた。一方の日本は、金正日(キムジョンイル)総書記が死去した北朝鮮の拉致問題解決に向け、中国からの強い働きかけを求めていた。関係改善を望む双方の思惑が合致し、いくつかの課題に方向性が見えた。
漁船事件を教訓に、高級事務レベル協議を立ち上げて東シナ海での偶発的なトラブル回避を図る。日中韓の自由貿易協定(FTA)も交渉に入れる見通しだ。東日本大震災の被災地へのパンダ貸与も実現しそうだ。
注目は、日本の人民元建て中国国債の買い入れ表明だ。先進国で初めて中国国債を買って外貨準備に組み入れる。両国間の貿易を円か元で決済できれば為替リスクを減らせ、双方にメリットがある。リーマン・ショック以来、ドル不信を深め、人民元の国際化を目指している中国が応じた。
一方で日本は、最も重視していた拉致問題で中国の協力を引き出せず、思惑の差が鮮明になった。
野田首相は会談の冒頭で取り上げ中国に支援を求めたが、温首相は「日朝の対話と協議で解決を」とにべもなかった。
中国にとって国境を接する北朝鮮の安定は「戦略的利益」だ。核放棄は望むが、必要以上に刺激することは避けたいというわけだ。その結果、対北朝鮮への連携で一致しながら、中身に具体性を欠いたのは残念だ。
原発事故後の日本製食品の輸入停止措置についても、野田首相の緩和・解除要請に中国側の明確な回答はなかった。東シナ海ガス田の共同開発に向けた条約交渉再開にも慎重な姿勢を崩さなかった。
安全保障やエネルギー分野で中国側と交渉にこぎつけるには、息の長い信頼醸成しかあるまい。
来年は中国の指導部が世代交代する。「ポスト胡錦濤」の対日姿勢は不透明だが、隣国であり最大の貿易相手である中国との関係は日本にとって最重要だ。
国民レベルの友好を促進し、平和や繁栄といった共通の価値観の土台に立って、国同士のさらなる関係改善へとつなげたい。相互不信を取り除くことが、ゆくゆくは懸案の解決につながるはずだ。

[京都新聞 2011年12月27日掲載]

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