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政府事故調報告  検証過程をオープンに

福島第1原発事故で政府が設置した事故調査・検証委員会(委員長・畑村洋太郎東京大名誉教授)が中間報告を公表した。
東京電力関係者や自治体首長、学識経験者ら約450人の聞き取りを踏まえ、政府の情報提供の遅れや東電の事故対応の混乱、津波対策の不備などを明らかにした。
政府対応の意思決定を担った菅直人前首相らのヒアリングを年明けに持ち越したため、全容解明の点で物足りなさは残る。
しかし非常用の冷却装置が作動しなかったことなど、大事故につながった状況を詳細に分析し、政府や東電の問題点を客観的な立場から浮き彫りにした。今後に向けた教訓と提言を引きだそうとする姿勢も感じ取れる。
中間報告は東電の事故対応のずさんさを、あぶりだした。
電源喪失時に原子炉を冷却する装置について幹部も運転員も熟知していないことが、注水遅れや水素爆発につながったと断じた。
津波対策についても、東電が行った社内調査で想定を大幅に上回る津波の可能性があるとの結果を得ながら、浸水対策を取らなかったとした。
東電は「想定外の津波が原因」と繰り返し弁明してきた。そもそも「3・11」のような過酷事故は起こるはずがないと安易に考え、対策を怠ってきたのではないか。事故後、専門家らから、そうした指摘が相次いだ。
中間報告も同様に、過酷事故を想定していないマニュアルは役に立たなかったと結論づけたうえ、「想定外もあり得る」と認識すべきだと提言し、考え方そのものの転換を求めた。
放射性物質の拡散を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)のデータを住民避難に活用できなかった点も取り上げた。
ただ事故当初、官邸に詰めていた経済産業省原子力安全・保安院の担当者が予測データを受けながら政府中枢に伝えず、住民への情報提供が遅れたことが「無用な被ばく」につながった問題にはあまり踏み込んでいない。最終報告に向けて一層詳しい調査が必要だ。
政府事故調の調査は、国会が設置した調査委員会のように法的な裏付けがあるわけではない。事実解明には限界があるかもしれない。
だが畑村委員長が言うように、政府事故調は「生活を奪われた住民の立場に立って、事故の教訓を考察し、提言する」のが目的だ。
事故からどう教訓を得て、今後の原子力安全政策に生かせるかが重要だ。
そのためにも国際社会に向けて検証過程を徹底的に透明化し、誰もが情報を共有できる道筋をつけてもらいたい。

[京都新聞 2011年12月27日掲載]

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