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辺野古アセス  提出は混迷深めるだけ

かえって反発を増幅させただけではないか。
政府は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の評価書を沖縄県に「送付」した。
評価書は、混乱を恐れ、沖縄防衛局職員による持参を避け、業者が運んだが、県庁で市民団体の抗議活動にあい、県に届かなかった。
抗議活動は辺野古移設に反対する県民意思の表れと受け止めるべきだ。その思いに正面から向き合わず、直接提出を避けた政府の姿勢は不誠実と言える。
前沖縄防衛局長の不適切発言や一川保夫防衛相の少女暴行事件をめぐる不用意な発言に対する沖縄県民の怒りは大きい。特に前局長の不適切発言は、評価書の提出時期を政府が明示しない理由を問われての暴言だった。
姑息(こそく)とも見える今回の提出の仕方は、県民の心を踏みにじった点で暴言と軌を一にする。前局長の更迭や一川防衛相の陳謝は形式に過ぎなかったのか。
一連の言動で参院の問責決議を受けた防衛相の手で、重要な手続きが進められることにも疑問を呈したい。
政府が評価書の年内提出を急いだ背景に米政府の意向があるだろう。米議会は2012会計年度(11年10月~12年9月)で普天間移設とセットの在沖縄米海兵隊グアム移転経費を全額カットした。13会計年度でも予算が付かなければ、沖縄の米軍再編全体が白紙に戻る可能性が高まる。
こうした事態を避けたい米政府が、評価書の提出で、普天間移設計画の実現性に疑問を示す議会の圧力をかわす狙いがあるとも指摘されている。
評価書は、環境への大きな影響はないとの判断を示しているとみられる。政府は来年6月ごろまでにアセスを完了させ、移設に必要な辺野古沿岸の埋め立て許可を仲井真弘多知事に申請する見通しだ。
しかし、県議会や名護市、県民の反対が根強い中で、知事は「許可は難しい」旨を明言している。
米側の思惑に押され、先の見通しのないまま、「ともかくも評価書を提出した」形をとろうというのなら論外だ。
しかし、アセス以降の手続きが進まず、普天間飛行場が継続使用され、危険性が放置されることは避けたい。
「普天間」をこじらせた鳩山由紀夫元首相をはじめ民主党政権の責任は重い。これ以上の混迷を避けるには、政府は県民の意思と問題を取り巻く状況の変化を認識する必要がある。
日米両政府には、日米合意の見直しを含め、移設先を再検討する現実的な視点が必要だ。

[京都新聞 2011年12月28日掲載]

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