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防災見直し  教訓生かし住民主体で

東日本大震災の教訓を踏まえて政府の中央防災会議(会長・野田佳彦首相)は、防災基本計画を大幅に修正した。
災害を完全に防ぐのは不可能として、「減災」の考え方を基本方針に打ち出し、津波対策を抜本的に強化したところが、これまでとは違う。
これを受けて各自治体で地域防災計画の見直しが進められるが、肝心なのは住民が主体となることだ。自然条件などさまざまな実情に合わせた地域仕様の計画をつくってもらいたい。
震災の死者の実に9割が津波の犠牲になったとみられる。それだけに、津波対策を一から見直す必要があったろう。
岩手県宮古市田老地区では、「万里の長城」の異名もある高さ10メートルの防潮堤を大津波が乗り越え、多くの住民が亡くなった。防潮堤を過信した悲劇といえる。
修正では、想定に「あらゆる可能性を考慮した」最大級の津波を加えた上で、堤防などインフラだけで防御するのは困難と認めた。対応は住民避難を軸とし、海沿いの地域では5分程度で避難できるビルの整備や高台居住など土地利用計画を促している。
これらの考えは、巨大ダムに頼らないで地域全体で防災・減災に取り組む「流域治水」への動きに沿うものだ。
ほかにも震災現場の教訓が修正の随所に取り入れている。たとえば、避難所での女性の着替えへの配慮や、救助者の惨事ストレス対策、帰宅困難者対策、被災した公共機関への広域応援などだ。
ここで忘れてはならないのは、住民自身が自らの判断で避難行動をできるかどうかだ。
岩手県釜石市の小中学校では、児童・生徒が率先して自主避難し一人の犠牲者も出なかった。自分たちの足で調べた防災マップづくりなど日頃の防災教育が生きたと言われている。
これからの地域防災計画づくりは、住民参加が鍵になる。地域の災害史や自然環境、開発による変化などをよく知る住民が、知恵を出し合い、自らの手で減災の工夫や避難経路などを提案することで、計画は豊かになるはずだ。
津波に縁がないと見られる京都だが、実は府北部に言い伝えが残っていた。天橋立近くにある標高40メートルの「波せき地蔵」に津波が押し寄せたという伝承だが、今のところ確証はない。
各地に残る災害の古記録や伝承を、地域の住民が集め、古人の苦闘に思いをはせ、後世に伝える。科学的でなくても、災害に向き合う心を育む意味で、地域防災計画に取り入れてもいいだろう。
加えて震災犠牲者が伝えようとした思いを、地域防災計画でくみ取りたい。

[京都新聞 2011年12月29日掲載]

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