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インドを訪問した野田佳彦首相は、シン首相との首脳会談で、インフラ整備への資金提供など、経済協力を一段と強めることで合意した。 国内市場の低迷が続く日本にとって、12億の人口を抱え、経済成長の著しいインドの巨大市場はきわめて魅力的だ。 インドも将来にわたって安定的な経済発展をめざす上で、日本の資金や技術力は大きな支えになる。 政府間でさらに協議を深め、8月に発効した両国の経済連携協定(EPA)をてこに、具体的な事業展開を図ってほしい。 インドでは電力供給や鉄道、道路、港湾など産業発展に欠かせないインフラ整備が遅れている。日本の投資に対する期待が大きい。 その突破口として合意事項に盛り込まれたのが、首都ニューデリーと商都ムンバイを結ぶ貨物鉄道建設などのプロジェクトへの支援だ。5年間で約45億ドル(約3500億円)を拠出することを日本側が約束した。 これまでネックだった電力安定供給をはじめ、工業団地や物流拠点の整備が進めば、日本企業は進出しやすくなる。 ただインフラ整備の柱の一つである原子力協定の締結については問題があると言わざるをえない。 東日本大震災後、中断している実務者協議を早急に再開し、交渉を加速させることで両首脳が一致した。 原発建設を電力供給の切り札と位置付けるインドは、日本に対して技術や資金提供などの支援を求めている。 だが核保有国でありながら核拡散防止条約(NPT)に加盟しておらず、核拡散につながる可能性は否定できない。軍事転用禁止や核実験実施時の協力停止などの条件を課すのが大前提だ。 そもそも福島第1原発事故の収束は見通せず、原因解明もこれからなのに、海外で原発ビジネスを前のめりに進めようとする政府の姿勢は疑問だ。将来的に原発依存度を減らすという国内での首相発言とも矛盾する。 むしろ日本が得意とする太陽光発電システムなどの環境技術提供に力を入れるべきだ。 首脳会談では、来年初めて実施する海上自衛隊とインド海軍の共同演習などを通じ、海洋安全保障で協力を拡大することでも一致した。 背景には、東シナ海や南シナ海で活動を強める中国をけん制する狙いがあろう。 海洋権益をめぐる対立はインド洋にも波及しかねない。日本にとっても重要なシーレーン(海上交通路)の安全確保は大事だ。 しかし、自衛隊が海外で他国との共同演習に参加する機会が増えることには危惧を感じる。
[京都新聞 2011年12月30日掲載] |