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野田佳彦首相は「仕事始め」のきのう、年頭記者会見に臨んだ。前の国会で積み残した郵政改革、国会議員の定数削減、公務員人件費削減の3法案のほか、消費税率を引き上げる社会保障と税の一体改革について野党との協議を呼び掛ける姿勢を示した。しかし、具体的な打開策の提示はなく、首相の決意だけが空回りした印象が強い。 社会保障と税の一体改革をめぐる政府と民主党の意見集約は昨年末、2014年4月に8%、15年10月に10%消費税を引き上げる2段階増税案で決着をみた。素案には引き上げの時期と税率は明記するという野田首相の執念が党内反対派を押さえ込んだ。 野田首相は党内の説得に当たって消費増税を「政治家としての集大成」と言い切った。失敗すれば政治責任に及び、自らの退路を断った姿勢を示した。しかし、決着までの2日間の党内での議論は十分でなかったし、拙速に結論を導いたことは否定できない。 年頭会見で、野田首相は今週中に政府、与党の社会保障改革本部で大綱素案を正式決定した上で、来週中に野党に示して協議を申し入れる考えを強調した。「野党も先送りできない課題だと認識していると思う」と自民党などをけん制して見せた。 会見を聞いた野党の反応はつれなかった。自民党の谷垣禎一総裁は民主党がマニフェスト(政権公約)で消費税増税に一言も触れていないことを念頭に、「民主党政権に提唱する資格はない。国民に信を問い直さなければ、できるはずはない」と与党との協議入り提案を一蹴した。公明党も協議に応じる気配はない。 国の借金と社会保障費が膨らみ続けるなかで、いずれ国民負担増が避けられないことは多くの国民が理解している。「ねじれ国会」を前提として、国民の理解と合意を得る道筋を探るのが政治の知恵の絞りどころではないか。 今月末に召集される通常国会では、参院で問責決議を受けたまま続投する一川保夫防衛相と山岡賢次消費者行政担当相が火だねになる。野党側の審議拒否が続けば、国会は冒頭から空転する。本気で難題克服のための与野党協議を追求するのなら、2閣僚の交代を含め内閣の陣容を新たにすべきだろう。 最大野党の自民党は、協議拒否の姿勢を再考すべきだ。10年の参院選では「消費税10%」を掲げたはずだ。政局最優先の姿勢だけでは到底、国民の信は得られまい。 新しい年を迎えても、長引くデフレ不況や世界経済の先行きに私たちの閉塞(へいそく)感は強い。国民は現状打開を求め、政治を前に進めることを望んでいる。そのためには、山積する諸課題について国会の場で国民的な議論を重ねることだ。
[京都新聞 2012年01月05日掲載] |