|
オリンパスは、巨額損失隠しについて高山修一社長ら現職取締役の経営責任を認め、損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。 複数の弁護士で構成する同社の取締役責任調査委員会がまとめた報告書を踏まえ、判断した。 会社が現役経営トップを訴えるのは異例だ。不祥事を真正面から受け止め、経営再建に向けて強い決意を示したと受け止めたい。 同時に、国際市場に与えた影響の大きさも考えれば、当然のけじめだともいえる。 信用を回復し、再生を果たすには、根本から出直す以外に道はあるまい。海外からも注視されるなか、企業風土の一新も含め、どこまで大胆に経営改革を実行できるかが問われよう。 オリンパスは、1990年代に手がけた財テクの失敗で抱えた損失を、その後の企業買収に絡めて隠した。 報告書によると、会社の損害額は859億円と算定。菊川剛前会長兼社長ら新旧取締役19人に責任があるとした。これを受けて同社は、個人としての支払い能力などを考慮し、19人に対し計36億1千万円の損害賠償を求めた。 損失隠しを主導したとされる森久志前副社長、山田秀雄前常勤監査役や、当時の経営トップとして了承した菊川氏が最も重い責任を負われなければならないのは、言うまでもない。 それ以上に、高山社長ら現職取締役6人の責任を明確に認めた意味は大きい。損失隠しに利用された高額な企業買収を決める取締役会に出席し、説明や報告を受けながら不正な会計処理を見抜けなかった。報告書は、取締役として当然行うべき監督義務を怠ったと厳しく指摘した。 取締役会がチェック機能を果たせず、経営トップの主張に異を唱えることができない企業体質に猛省を促したといえよう。 経営に都合のよい人材を集めた取締役会の閉鎖性も、あらためて浮き彫りにした。 高山社長はこれまで、損失隠しは一部の取締役によるもので、続投も視野に不正にかかわっていない現職経営陣が再建を進めるべきだと主張してきた。再建シナリオを練り直す必要がある。 消化器内視鏡の世界シェア7割を占める技術力を持つとはいえ、傷付いた信用を取り戻すのは容易でない。資本増強も難題だ。 次期経営陣に外部の人材を大胆に招くなど、企業を根底からつくり替える発想と実行力が伴わなければ、再生はおぼつかない。 損失隠しは、東京地検などが捜査を進めている。単なる一企業の不祥事にとどまる問題ではない。国際市場も巻き込んだ不正の全容解明にも全力を挙げてほしい。
[京都新聞 2012年01月11日掲載] |