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17年の逃亡  「闇」解明につなげるか

 東京の目黒公証役場事務長の逮捕監禁致死事件で特別手配されていたオウム真理教元幹部平田信容疑者が逮捕され、2週間。
 10日には平田容疑者をかくまったとして元信者の斎藤明美容疑者も犯人蔵匿(ぞうとく)容疑で逮捕され、17年に及ぶ逃亡生活の一端が明らかになりつつある。
 とはいえ、なぜ今になって出頭したのか。教団から支援はあったのかなど不明な点も多い。警察には、まずこれらの解明に全力を挙げてもらいたい。
 平田容疑者が出頭したのは昨年の大みそかの夜。文字通り突然だった。オウム事件はまだ終わってはいない-。教団幹部ら13人の死刑判決が確定した直後だけに衝撃を与えたのは間違いない。
 出頭の理由について平田容疑者は「東日本大震災で多くの人が亡くなり、罪深い自分が生きていることに疑問を感じた」と弁護士に語っている。
 「一区切りつけたかった」とも述べているというが、本心か。
 警察関係者などの間には、時期が時期だけに松本智津夫死刑囚らの刑執行を先送りするためではないか、との見方もある。
 というのも法務省は、死刑確定囚に共犯者がいた場合、証言が公判で必要となる事態を想定し、共犯者の判決確定までの期間は刑を執行しないよう運用してきた。それを狙ったというわけだ。
 もう一つ理由を挙げている。
 一時、警察庁長官銃撃事件への関与を疑われたが、「時効が成立したので」出頭したという。だが時効成立は一昨年の春だ。なぜ今なのか、という疑問は消えない。
 逃亡後の足取りや生活は、自首してきた斎藤容疑者の話から徐々に浮かびあがりつつある。
 東北地方を転々とした後、この15年間は大阪府内に居住。斎藤容疑者が生活を支えていたという。
 「尊敬が愛情に変わった」「偽りの人生は終わりに」という斎藤容疑者の言葉に偽りはないのか。教団から援助も連絡も受けていないとの説明はどうか。押収物などから明らかにする必要がある。
 この際、出頭時の対応は言うに及ばず、長期逃亡を許した警察の「怠慢」も批判しておきたい。
 逮捕監禁致死事件について平田容疑者は、容疑を一部否認する一方で、涙ながらに遺族の話をしたともいう。真相解明を求める遺族のためにもすべてを話してほしい。
 興味深いのは松本死刑囚の「死刑は当然」と語るなど、教団との決別を強調していることだ。刑が確定した教団幹部とは違って17年間、外から考える機会もあった。
 教団と信者がなぜ凶悪事件に突き進んだのか。マインドコントロールが解けたというなら、事件の「闇」解明につながるような話が出てこないとも限らない。

[京都新聞 2012年01月13日掲載]

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