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鉄の巨体が力強く大地を踏む。神戸市のJR新長田駅前に「鉄人28号」のモニュメントが立つ。あすで発生17年を迎える阪神大震災からの復興の象徴だ。6434人の犠牲を出し、がれきと焼け野原が広がっていた被災地は今、完全に復興したように見える。 17年の時を隔てて日本を揺るがした大災害の記憶も風化を免れない。しかし、東日本大震災の復興に臨む今年、いまだに残る阪神大震災の復興課題を直視し、経験を今こそ生かさなければならない。 東日本大震災直後、神戸市や西宮市は職員を派遣し、兵庫県はボランティアを受け入れる拠点を設置するなど、いち早く支援に取り組んだ。関西広域連合は緊急会合を開き、救援物資の輸送や人員派遣について情報共有しながら府県での分担支援を決めた。NPOなど民間の動きも早かった。 混乱する被災地では救援の要請もままならない。要請を待たず支援に乗り出した姿勢に、震災の経験が生かされたといえよう。災害支援のあり方として広く共有されるべきだ。 さらに、関西広域連合は今年、大規模地震発生時に他の自治体からの支援の受け入れ態勢を整える広域防災計画を目指す。津波や原発事故発生時の対策など新たな課題が増えた。被災者を守るために受け入れ方の検討も重要だ。 阪神大震災での大きな教訓は耐震化だった。国土交通省などのまとめで住宅の耐震化率は79%、小中学校は73・3%、防災拠点の公共施設は70・9%に達している。東日本大震災では地震そのものによる大きな被害は報告されず、一定の成果があったといえよう。 国土交通省は、2015年までに90%に引き上げる目標を掲げるが、近年、耐震化補助の申請は落ち込んでいるという。病院の耐震化率は56・2%とまだ低い。さらにペースを上げる必要があろう。 震災による長期にわたる課題が明らかになってきた。被災者の生活資金に貸し付けられた国の「災害援護資金」は今も1万3千人が返済を終えていない。家を失った人の住居を確保するために家賃を補助する「借り上げ復興住宅」は15年から23年までに、20年間の期限を迎える。いずれも困窮しているのは65歳以上の高齢者だ。社会的弱者を置き去りにしてはならない。 地域再建でも苦い経験を残した。神戸市長田区では行政主導で区画整理が行われた結果、借家住まいの多かった住民が転出を余儀なくされ、コミュニティーが失われた。 日本は二つの震災からの復興に長期的な視点をもって取り組まねばならない。最も重要なのは、住民の生活の再建であることを肝に銘じたい。
[京都新聞 2012年01月16日掲載] |