|
民主党の定期党大会で、野田佳彦首相は社会保障と税の一体改革や、国会議員定数削減などの歳出改革を実現する決意を表明し、各党に与野党協議への参加を呼び掛けた。 消費税増税を柱とする「一体改革」は、東日本大震災からの本格復興や福島第1原発事故の収束とともに、野田政権が命運を懸けた最重要課題だ。 だが自民党などは解散総選挙をにらんで対決姿勢を強め、協議に入る糸口は見えない。民主党内にさえ反対論や慎重論が根強い。 国民に痛みを求める前に政治家も官僚も、まず自ら身を切る。国民が率直にそう思う気持ちに応えることが増税断行の大前提だ。 党大会で承認された2012年度活動方針に盛り込んだ改革への意気込みを空回りさせず、ぜひ実行してもらいたい。 そのためには議員定数や国家公務員給与の削減について期限にも踏み込むなど、中身をさらに具体的に示さなければ、野党はもちろん国民の理解は得られない。 増税によって社会保障がどう充実するのか、制度改革の全体像を示すことも忘れてはなるまい。 今月上旬に共同通信社が行った世論調査でも、首相が国民に十分に「説明していない」とする回答が74・4%にも上っている。 とりわけ、衆院選マニフェスト(政権公約)に主要施策として掲げた年金一元化や最低保障年金導入について、財源確保などの面から実現可能なのか判然としない。 導入すれば消費税率の5%引き上げだけでは済むまい。一体改革大綱素案にも項目は盛り込まれたが、党大会までに論議が掘り下げられた様子はない。 政権交代から2年半。子ども手当の見直しや八ッ場ダム建設再開など、マニフェストで約束した重要課題が次々と後退している。国民は見直しそのものより、なし崩し的に方針転換する姿勢に強い不満を感じているのではないか。 民主党は昨年8月、マニフェストの中間検証結果をまとめ、約180項目のうち56%が「実施か一部実施」とし、約束をほごにしたのではないことを強調した。だが国民の実感からは程遠い。 マニフェストの見直し自体を否定するのではない。2年半の歩みをきちんと総括し、見直しの理由と展望を国民に説明する必要がある。活動方針に「マニフェスト実現にできる限り取り組む」と、あっさり触れるだけで終わったのは残念だ。 相も変わらず政争に明け暮れる民主党の姿に、国民はへきえきしている。政権与党として、党内で真正面から政策論議を尽くし、マニフェストに練り上げる仕組みを確立することが喫緊の課題だ。
[京都新聞 2012年01月17日掲載] |