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原発を安全に運転できるのは、どれぐらいの期間なのだろうか。 政府が、原発の運転期間を最長60年認める方針を打ち出した。 疑問なのは、細野豪志原発事故担当相が「40年で廃炉」とする方針を示し、「延長は極めて例外」と明言したばかりなのに、一気に20年もの例外を容認したことだ。 政府は、最新の技術基準に適合しない原発の運用を厳格化するなど原子力安全規制の見直し作業中で、「40年廃炉」もその一環だ。 「最長60年」の容認は、自らの方針を骨抜きにする。原発に対する国民の不安をさらに増幅しかねない。再考を求めたい。 政府の説明では、原発の運転期間を40年にするのに伴って例外的に認める運転延長を1回に限って認め、上限を20年とするという。 そもそも「40年廃炉」の根拠も不明なのに、さらに20年の延長が可能、というのは首をひねる。 4月に発足する原子力安全庁の準備室は、60年まで運転が認められている米国を参考に「原子炉に劣化が生じても安全性が確保できる」を条件にしたと説明する。 しかし、そのための具体的基準は決まっていない。判断基準が未定なのに、20年延長を先に認めるのは順番が逆ではないか。 長い年月にわたって中性子を浴びる原子炉内の圧力容器は劣化が進む。その程度を診断する技術は確立されていないとされる。原子炉の心臓部である圧力容器は補修や交換が難しい。安全性をどう確保するつもりなのだろうか。 1回に20年もの延長を認めてしまうのも甘すぎる。現在でも、運転開始から30年を超えた原発は10年ごとに健全性を評価している。 国内54基の原発に40年廃炉ルールを適用すると、原発は10年後に35基、20年後には16基となる。 電力会社には、福島第1の4基だけで1兆円以上と試算される廃炉費用や、増加する火力など代替燃料の調達コストがのしかかる。政府は、原子力をできるだけ長く使いたい電力会社の意向をくんだとみられても仕方ない。 準備室は、運転延長には「厳しい基準を設ける」とするが、こんな状況で60年を認めれば、例外が原則になってしまいかねない。 さらに問題なのは、こうした抜け穴のような例外を設ける案をとりまとめているのが、深刻な福島第1原発事故を経て誕生する原子力安全庁の準備室であることだ。 原子力の安全をつかさどるはずの組織機関が、国民ではなく電力業界を向いていることを、はからずも露呈したといえる。中立性に疑問を抱かざるを得ない。 海外出張中の細野担当相は、「例外」の意味をどう認識しているのか。自らの発言とのずれについて詳しく説明してもらいたい。
[京都新聞 2012年01月19日掲載] |