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経済産業省原子力安全・保安院が、関西電力による大飯原発3、4号機の安全評価の1次評価結果を「妥当」とする審査書案をまとめた。再稼働への手続きを進めた形だが、電力事業者が自ら行った採点を、国民から不信任の烙印(らくいん)を押されて2カ月後に解体される組織が審査した結果である。安全性の担保になるだろうか。根本的に疑問を感じる。 日本が参考にしたEUの安全評価は、加盟各国の規制当局が互いに評価を検証する仕組みで7カ月程度かかるとされる。日本はそれを2回に分け、短期間で結果が出る1次評価を設けただけだ。より厳格なはずのEUの安全評価でさえ、審査の甘さが問題化している現状がある。原発の安全性の評価は簡単ではない。 しかも、1次評価は地震や津波に対する耐性が中心で、事故が発生した際の対応手順書などは対象になっていない。国の福島第1原発事故調査・検証委員会は、事故原因に関して「想定外」を繰り返す東京電力や政府の姿勢を中間報告で厳しく批判した。原発の耐性だけが安全の判断基準ではない。崩壊したはずの「安全神話」がよみがえったような評価では国民の信頼は得られまい。 そもそも原発事故の詳細な原因はまだ調査中だ。その結果を踏まえ、再稼働の可否を判断するのが筋だろう。細野豪志原発事故担当相が、既存の原発に最新の科学的知識を取り入れた新基準への適合を義務づける「バックフィット」制度を盛り込んだ原子炉等規制法の見直し案を発表したばかりだ。今、福島の教訓を生かさない安全評価は机上の空論でしかない。 審査機関が、原発事故で信頼が失墜した保安院と原子力安全委員会であることに違和感がある。中立公正な原子力規制行政を目指して4月に新設される「原子力安全庁」(仮称)が担うべきだろう。枝野幸男経産相は「再稼働を急ぐつもりはない」と強調するが、稼働中の原発は4月にはゼロになる可能性がある。再稼働を急いだとみられても仕方あるまい。 専門家の意見聴取会では、混乱回避を理由に一般傍聴を認めなかったが、国民の理解を得たいのなら、広く公開する姿勢こそ重要だと認識すべきだ。 今回の「妥当」判断の前には、細野担当相が原発の寿命を原則40年に規制するとの発表直後に、最長60年まで運転期間を容認する方針を打ち出した。国の原子力政策が、脱原発依存に逆行しているとの印象を持たざるをえない。 今夏に向けて、エネルギー基本計画の見直しが進む。福島第1原発事故は、日本に大きな転換を求めた。「脱原発依存」の基本を忘れてはならない。
[京都新聞 2012年01月20日掲載] |