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福島県内の新築マンション室内で、高い放射線量が検出された。 東京電力福島第1原発事故で計画的避難区域となった浪江町の砕石場の石が基礎コンクリートに使われたのが原因と見られる。原発事故で避難し、マンションに入居していた住民らが被ばくした。 県などは入居者の移転など安全確保策に着手した。健康面の継続調査と対策に万全を期してほしい。 同じ砕石場の石が、県内で農業用水路の補修や学校の耐震工事、町道の路盤材に使われ、一部で比較的高い放射線量が測定された。 国は早急に流通ルートを調べ、関係するすべての場所で放射能汚染の実態調査や、除染などの対策を徹底して進めるべきだ。 汚染が分かったのは、子どもの被ばく線量調査がきっかけだ。昨年末に報告を受けた監督官庁の経済産業省は、すぐに対応せず放置していた。「コンクリートの材料が原因との可能性を示す指摘がなかった」(経産省幹部)という経緯はあったにしても、認識に甘さがあったと言わざるを得ない。 石は、業者が砕石場で簡易式屋根の下や野ざらしで保管していた。昨年3月の原発事故後から4月22日まで、県内の建設会社など約20社に約5725トンを出荷した。 事故直後に原発から飛散した放射性物質で汚染されたと見られ、業者は「(放射線量の高さを)知っていれば出荷しなかった」としている。 福島県は昨年5月、建築資材の汚染を心配して、政府に放射線基準を示すよう申し入れていた。出荷した当時に放射線量チェックの仕組みがなかったのが悔やまれるが、国の初期対応のまずさと怠慢が問題を拡大したと言える。 昨夏には、放射能汚染地域で屋外に保管されていた稲わらが流通し、餌にした肉牛の汚染が問題になった。今回も同様の構図だ。反省が生かされなかったばかりか、行政の危機感の薄さを露呈した。 国は今後、原発周辺に設定された計画的避難区域や特定避難勧奨地点などの砕石場と砂・砂利採取場所合計28カ所を現地調査し、採石の有無や流通経路について調査するという。 浪江町の砕石場では、問題が表面化した後の測定で最大毎時40マイクロシーベルトと高い空間放射線量が確認された。 しかし、問題発覚後も石の出荷基準や放射線量の測定方法が定まっておらず、地元自治体や採石事業者らからは、風評被害への懸念の声が出ている。国は早急に安全基準を設ける必要がある。 関係した業者も汚染の被害者と言える。東電と国は、住民の健康対策や移転費用はもちろん、損害賠償についても責任を持って対応すべきだ。
[京都新聞 2012年01月22日掲載] |