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米一般教書演説  再選へ対決姿勢鮮明に

 オバマ米大統領は、今後の施政方針を示す一般教書演説を行い、共和党が反対する富裕層への増税を主張する一方、中間所得層に対する減税を強調した。
 党派や人種の違いを乗り越え、国家再生を果たそうと訴えた2009年の大統領就任演説の融和姿勢は、かげをひそめ、11月の大統領選をにらんで共和党への対決姿勢を鮮明にした。
 就任から3年、長引く経済停滞に有効な手を打てず、高い失業率が続いている。大統領支持率も40%台と低い。
 米紙ニューヨーク・タイムズなどが今月発表した世論調査結果では、70%が大統領選で誰に投票するかを決める際に、経済を重視すると回答。62%がオバマ氏の経済政策は「実質的な前進がない」と不満を示した。
 オバマ氏はそれも意識したのか演説で、製造業への減税措置やエネルギー生産の拡大など、雇用を創出するための具体的な施策を相次いで提示した。
 昨年、ウォール街のデモが先鋭化した背景には、米社会で深刻になってきた格差の広がりがある。オバマ氏はあえて、そこに踏み込んだ。一握りの富裕層のためではなく、多数の苦しむ市民のための政治を行うとの強いメッセージが読み取れる。
 だが下院で多数を占める共和党が反対すれば、法案は日の目を見ない。オバマ氏としては、演説を突破口に有権者の支持を増やすほかない。
 演説では、核兵器開発疑惑を深めるイランへの経済制裁強化の必要性も強調した。「いかなる選択肢も排除しない」と、武力行使も辞さずとの姿勢を示した。
 大統領選を控え、共和党から対イラン政策の弱腰ぶりを攻め立てられる前に、強い米国を打ちだす必要があるとの判断だろう。
 欧米による経済制裁に対抗し、イランは原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡封鎖をちらつかせている。もし不測の事態が生じれば大統領選に影響が出る。
 大きな選挙の年は内政重視になりがちだと言われる。しかしオバマ氏の対イランのかじ取りによっては、大統領選の行方を左右しかねない波乱要素になる恐れもある。
 中東情勢と並んで、ユーロ危機や中国の台頭など、国際社会の不安定要因は山積している。
 国際社会への米国の影響力が相対的に低下しつつあるとはいえ、その役割は依然として大きい。
 9・11テロから10年余りを経て米社会は次の10年をにらんだ「新段階」に入ったと言われる。
 民主、共和両党は早くがっぷり四つに組み、「戦争の10年」後のあるべき米国像について、国民に選択肢を示してもらいたい。

[京都新聞 2012年01月26日掲載]

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