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除染工程表  いつ帰れるか知りたい

 環境省は福島第1原発周辺で政府が実施する除染作業の工程表を発表した。除染は住民が帰還する前提となるだけに、スケジュールが示されたことは歓迎したい。
 広い範囲にわたる放射能汚染の除去は「世界でも例のない試み」(細野豪志環境相)だ。それだけに作業上の困難は山積している。例えば、私有の土地や建物の除染には所有者の同意が必要だが、対象区域の6万世帯の大半は避難中で、同意集めは難航しそうだ。
 震災復興で土木・建築作業員が不足するなか、数千人必要とみられる除染作業員や機材の確保も課題だ。膨大な量が見込まれる汚染土の保管場所も決まっていない。
 困難をひとつひとつクリアして徹底した除染を実施し、住民の早期帰還を実現してほしい。
 工程表によると、現在の警戒区域と計画的避難区域を汚染度によって3区域に再編する。
 年間被ばく線量が20ミリシーベルト以下の地域を「避難指示解除準備区域」とし、役所や学校、病院、市街地などから優先的に除染する。当面10ミリシーベルト未満、長期的には1ミリシーベルト以下を目指す。
 20~50ミリシーベルトの「居住制限区域」は、当面20ミリシーベルト以下を目指して除染する。50ミリシーベルト以上の「帰還困難区域」は効果的な除染方法が今のところなく、作業を先送りした。
 除染地域の優先順位付けは、昨秋来日した国際原子力機関(IAEA)調査団の助言にも沿い、理解できる。ただ、除染のめどが立たない帰還困難区域の「切り捨て」につながらないか心配だ。
 政府は原発に近い福島県双葉郡の自治体に汚染土の中間貯蔵施設の建設を打診している。生まれ育った故郷が半永久的に人の住めない地域になることは、住民にとって大きな苦痛だろう。また、帰還困難区域によって、地域が分断されてしまうことも大きな問題だ。
 被ばく線量の目標値にも疑問が残る。積算100ミリシーベルトが発がんリスク上昇の境界とされることを考えれば、避難指示解除準備区域の「当面10ミリシーベルト以下」は甘い目標と言わざるをえない。
 放射能汚染によって住民が避難を余儀なくされ、いったん失われた地域社会の再生はたやすいことではない。避難中の住民からは「除染しても不安」「若い世代は帰ってこない」といった声が漏れる。
 原発事故発生から10カ月余り。時間がたつほど地域の再生は難しくなる。いつ自宅へ帰れるのか、政府は時期のめどを示せないものか。それによって避難中の住民も希望が持てるはずだ。
 水道や電気が復旧し、商店や病院、学校が再開しなければ、除染が済んでも生活できない。帰還時期が分かれば、そうした地域の再生計画も立てやすくなるだろう。

[京都新聞 2012年01月28日掲載]

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