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東日本大震災や福島第1原発事故に関連する政府の10会議で議事録が作成されていなかったことが分かった。特に緊急災害対策本部、原子力災害対策本部という未曽有の災害への対策を決める、最も重要な会議で作られていなかったことには驚きを禁じ得ない。 政府は、要点をまとめた議事概要もない5会議について、2月中に概要を作る方針だが、当時の議事内容をどこまで正確に再現できるか保証はない。後世、政策決定の過程を検証し、貴重な教訓とすべき国民の財産をないがしろにした姿勢は厳しく非難されよう。 政府は、災害発生直後は対応に忙殺されて議事録を作る余裕がなかったと説明するが、緊急災害対策本部は昨年9月までに19回、原子力災害対策本部は12月までに23回開かれている。震災から間もなく1年を迎えるこの時期に未作成の言い訳にはならない。 自公政権時代に発覚したずさんな年金記録問題などをきっかけにして、昨年4月に施行された公文書管理法は「行政機関の長で構成される会議の決定や了解、経緯」に関する文書作成を義務づけている。作成期限の定めや罰則はないものの、法の趣旨に背くことは明白であり、政権にとって都合の悪い情報を隠蔽(いんぺい)した疑いを抱かれてもやむをえまい。 法は公文書を「歴史的事実の記録」「国民共有の知的資源」と位置づけている。政府の意思決定にあたり、いつの時点でどのような情報が伝わり、それに基づいてどういう議論が交わされて政策が決まったのか。その一連の過程を記録することが重要なのだ。 記録は教訓となる。後世の検証でミスがあったと判断されても、そのミスの原因を検討することでより的確な政策を導きだすことができる。今回の不手際で政府の原発事故原因の調査・検証に支障をきたす恐れも指摘される。二度とこのような事態が起こらないように震災関連だけでなく、政策決定に関わるすべての会議を点検し、徹底した対策をとる必要がある。 民主党政権では、情報公開に対する姿勢が疑問視されている。 原発事故では、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の情報をすぐに公開せず、事故の最悪シナリオに関する文書の公表も先送りした。 民主党は、政策決定過程の透明性を高め、情報公開を進めることを明言してきたはずだが、都合の悪い情報を隠していると国民の不信感を招いているのが現状だ。 議事録の未作成は、情報公開の前提となる公文書管理にまで危惧を抱かせた点で極めて重大だ。 歴史の検証に耐えうる記録を残すことは、政治家の義務であることを肝に銘じるべきだ。
[京都新聞 2012年01月29日掲載] |