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日ロ外相会談  対話を重ね懸案を前へ

 玄葉光一郎外相と、来日したロシアのラブロフ外相が会談した。
 北方領土問題で具体的な進展はなかったが、経済や安全保障など幅広い分野での協力を確認した。3月のロシア大統領選後をにらみ対話の環境醸成に努めた格好だ。
 世界の基軸がアジアへとシフトする中、日ロ関係は重要性を増している。さまざまな機会に対話を重ねることで懸案の進展を図りたい。
 ロシア外相が二国間会談のために来日するのは2008年11月以来、3年2カ月ぶりとなる。
 約4時間の会談のうち40分が割かれた領土問題では、棚上げせず「静かな環境で議論を進める」ことを確認した。10年7月のロシア軍の択捉島での軍事演習や、同11月のメドベージェフ大統領の国後島訪問で、両国関係はかつてないほど冷え込んでいただけに、最低限の目標は果たしたと言えよう。
 会談でラブロフ氏は四島の共同経済開発で日本に配慮する姿勢をのぞかせ、領土交渉をめぐっても「双方が一方的な前提条件を取り下げれば進展は可能」と述べた。
 両国どちらの国内法に基づいて事業を進めるかなど、なおも深い溝はあるが、ようやく和らいできた空気を関係改善につなげたい。
 実質交渉はロシア新政権が発足する5月以降となりそうだ。大統領選で返り咲きが確実視されるプーチン首相は、大統領時代の01年に四島の帰属問題を解決することを定めたイルクーツク声明に署名した経緯がある。ただ、現政権もプーチン氏の影響下にあり、新政権で交渉が大きく進展するとは考えにくいが、トップ交代を潮目とできるよう日本にも戦略が要る。
 両外相はアジア太平洋地域において経済や安全保障分野で協力を強めることを確認し、玄葉氏が会談後の共同記者会見で「アジア太平洋地域のパートナーとして新しい関係の構築」を呼び掛けた。
 この地域で軍事、経済的な影響力を拡大する中国をにらみ、米国もアジア戦略を強める中、経済や安全保障での協力強化は日ロ両国の関心が一致する点でもあろう。
 資源収入で高成長を遂げたロシア経済だが、シェールガスと呼ばれる天然ガスの台頭で、従来型の天然ガスを扱う国営企業が振るわず危機感は強い。アジア太平洋地域へのガス輸出は国家戦略だ。日本も原発事故に伴う火力発電の拡大で天然ガスの需要が高まっている。
 ラブロフ氏は北朝鮮による日本人拉致問題に関し、日本への支持と協力も表明した。北朝鮮情勢の安定を考えても東アジアにおける日ロの緊密な連携は欠かせない。
 ロシアは9月、ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を主催する。こうした機会に対話しながら、懸案の進展を探っていく必要がある。

[京都新聞 2012年01月30日掲載]

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