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欧州連合(EU)首脳会議が、統一通貨ユーロ導入国などに財政赤字の削減を義務付ける「新財政協定」に合意したことで、ユーロ圏は財政統合へ大きな一歩を踏みだした。
通貨ユーロを共有するのに、財政は各国に任せられている。そんなちぐはぐから、ギリシャなどの放漫財政を見逃し、欧州に債務危機を招いた。ユーロ最大の欠陥を解消するのが新協定の狙いだ。
ただ、現在進行形の危機にすぐ効き目があるわけではない。ユーロを発行する欧州中央銀行(ECB)による市場介入の拡大や、ユーロ圏全体で担うユーロ共通債の導入は避けられまい。
これらに慎重だったドイツは、求めてきた財政規律が新協定合意で実現するのだから、今後は積極的に対応していくべきだ。
新協定は、各国の単年度の財政赤字を国内総生産(GDP)の0・5%以内に抑えることを憲法や国内法で義務付け、怠ればGDPの0・1%の制裁金を課す。
現行でも財政赤字を3%未満に抑え、違反国に制裁を発動する協定はある。しかし、結果的に実効性が乏しく、ギリシャはユーロ加盟を背景にして、経済規模に不相応な借金を重ねたのが実情だ。
こうした問題の解決が新協定で期待されている。ただ、財政統合は、国家の根幹をなす予算編成権の制限につながる。景気テコ入れに財政出動するといった重要な政策を手放すことになり、国民の理解を得られるのか。
英国は新協定に反対し、チェコは議会手続きを理由に参加表明を見送っている。新協定に合意した各国も、法制化の過程で議会や国民に説明する必要がある。
バローゾ欧州委員長は「その場限りの対策ではなく、経済、財政政策の抜本的な変更を選んだ。市場や各国民の信頼を取り戻せる」と強調する。
しかし首脳会議中に欧州株式市場は続落、ポルトガルの国債利回りが急伸しユーロ発足以来の最高となった。欧州危機はおさまるどころか、広がる様相さえ見せる。
首脳会議は、恒久的に財政支援する機関「欧州安定メカニズム(ESM)」の7月前倒し発足を決め、ギリシャと民間債権者の債務削減交渉の週内合意を求めた。待ったなしで危機への対応を迫られてもいるのだ。
一方で、緊縮財政で「痛み」を受ける各国市民はEUへの反発を強めており、首脳会議開催のベルギーではゼネストで抗議した。 EU首脳は若者の失業問題に重点的に取り組む方針で一致したものの、有効な手があるわけではない。財政規律強化と、相反する景気回復や雇用拡大。この難題にEUは自力で立ち向かうしかない。
[京都新聞 2012年02月01日掲載] |